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いばや通信

ibaya≪いばや≫共同代表・坂爪圭吾のブログです。わっしょい└( ^o^ )┐

世界を変えるのではなく、世界を増やす。 ー 『正解を答える』優等生的な生き方ではなく『正解を増やす』アウトサイダー系の生き方をしよう。

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崖っぷちの人たちを集めて、日本海の崖っぷちで大書道をする『崖っぷち大書道』を開催した。誰もが抑圧された何かを抱えて生きている。今こそ『出す』必要がある。全長20メートルのロール紙と特大の筆を三本用意して、荒れ狂う日本海の波飛沫を全身に浴びながら溜め込んだエネルギーを放出した。

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『どうしてこんな所で書道をするのですか?』と、すれ違う人々に尋ねられまくった。私たちも上手く答えることが出来ない。理由は単純で「やりたいと思ったから」でしかない。崖っぷちで書道をしたらきっと面白くなるような気がしたからということ以上に、何も理由がない。いばやの活動を続けていると、様々なシーンで『どうしてそれをやろうと思ったのですか?』という風に動機やきっかけを尋ねられる。そして、毎度私は上手に答えることが出来ない。どうして多くの人たちは動機やきっかけを知りたがるのだろう。新しい何かをやるために、動機やきっかけなんてものが果たして必要なのだろうか。『やりたいと思ったから』ー それで充分じゃないか。必要なのは動機でもきっかけでもなく瞬間瞬間の突き動かされる衝動だけで、『やりたいと思ったから、やる』ー それで充分じゃないかと思っている。

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日本海の荒れ狂う高波が大書道中の青年を直撃した。その一歩手前の写真がこれだ。岩場に叩きつけられる荒波を眺めていると、その迫力に笑えてくる。自分の悩みなんてちっぽけなものだと思えてくるし、怒涛の波飛沫よろしく『俺も生きよう』という謎の生命力が湧き出してくる。波に呑まれたら確実に死ぬ。目の前にリアルな死を意識すると『死にたくない』と思っている自分自身の真相心理に気付くことができる。『死にたくない』『生きていたい』ー そのエネルギーに便乗して、私たちは思い思いの漢字や言葉や文章を特大用紙に吐き出した。自分の生命を大地に吐き出す。

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東京から新潟まではるばる来てくれた先生がお手本を見せてくれた。半端ない勢いで『波』と書いた。墨汁が周囲に飛び散らかって近くにいた女性の顔面が黒く染まった。『大丈夫ですか?』と尋ねる先生の問いに『全然大丈夫です』と答える女性を見て、ここはそういう場所なのだと改めて実感した。

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カメラマンを担当してくれた柔和な笑顔が魅力的な心の優しい女性も一筆入魂してくれた。何を書いたのだろうかと覗いて見ると、そこには力強い文字でデカデカと『乱切り』と書かれていた。何故だ…何故『乱切り』なのだろう…乱切り…見た目だけでは計り知ることの出来ない人間の底知れぬ奥深さを垣間見てしまった。後ほど理由を尋ねて見ると『乱切りしたくって…つい…』とのこと。乱切り…

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『逆転』と書いてくれた女性もいた。どのような心境だったのだろうか…参加者は男性半分女性半分の総勢10名程度だったが、圧倒的に女性の方が筆のスピードが早かった。私を含めて男性陣は常に迷っていた。何を書くべきか決めあぐねている内に、女性陣がバシバシ筆を進めて行った。『逆境』『愛』『死ぬこと以外はかすり傷』『志』『動』『女』『優』『天』『走』『逞』『天地人』などなど、いくつもの大書道作品が夕焼けに染まる崖っぷちを彩っていった。

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特大用紙に特大の筆でどりゃー!と文字を書き下ろすと、何かこうスッキリする。これほどまでに『出す』という行為をダイレクトに行ったのは久しぶりのことで、荒れ狂う波飛沫とセットで清々しさに満ち溢れた。最後には余った紙に『自分の中にある捨て去りたいもの』を書いた。『執着』『欲』『嫉妬』『不安』『恐怖』『脂肪』などの文字が次々と書き足されていった紙を、私たちは燃やした。

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そして日本海大書道は無事に終了した。

私の最近のキーワードは『自己肯定感』と『正解を増やす』の二つで、前者においては『自分で自分にOKを出せる奴は強い』と思っている。自己肯定感の高い人は比較的ハッピーな人生を送りやすく、自己肯定感の低い人はどのような環境に置かれたとしてもなかなか辛い日々を過ごす羽目になってしまう。

後者においては(前者と似ているのだけれど)世の中には『常識』とされているものが無数にある。結婚したら浮気をしたらダメだとか、安定した仕事につかなければ不幸になるとか、書道は家でやるものだとか、そういう『固定概念』的なものが世の中にはたくさんある。私は、出来ることならそういうものを壊したいと思っている。別に崖っぷちで書道をやってもいいじゃないかと思っている。

世界を変えるのではなく、世界を増やす。家で書道をやることを否定するのではなく、屋外の比較的エクストリームな環境で大書道をすることの中にも、想像を超えた迫力や面白さがある。そういう可能性の枠を拡張させていきたい。選択肢が増えることこそが『人生を楽しむ秘訣』であるように感じていて、こうあるべきとかこうあるべきではないという思い込みの枠をひとつずつ実験的に壊してみたい。

誰もが『自分の頭はおかしいんじゃないか?』と思う部分を持っていて、私が何よりも興味を惹かれるのはまさにその部分なのだと思っている。一般的な意見とかは本当にどうでもいい。誰もが抑圧された何かを抱えていて、それを放出した時に日常では感じることの出来なかった『生きている実感』『清々しさ』『本当の意味での手応え』を感じることが出来るのだと思う。特大用紙に書かれた文字を眺めていると、良くも悪くも『これが自分なのか』と目に見えてわかる。同じように『これがあなたなのですね』と言った風に、全身全霊で吐き出されたものを通じてお互いのことを深く知ることが出来る。

世界を変えるのではなく、世界を増やす。 ー 『正解を答える』優等生的な生き方ではなく、『正解を増やす』アウトサイダー系の生き方をしよう。誰もが『自分の頭はおかしいんじゃないか?』と思う部分を持っていて、その部分にこそその人自身の人間的な魅力が宿るのだと思う。抑えても抑えても抑えきれない自分らしさこそがアウトサイダーであり、他人と違うことやはみ出すことを恐れないで、自分がより一層突出して生きることで世界は勝手に拡張されていくのだということ、そして、それを見た人も『そんなのもありなのか!』という斬新な驚きと共に刺激が伝播していくのだということ。


『こうあるべき』という正解の枠に当てはまる生き方をするのではなく、『こんなのもありじゃないか』という正解を増やすような生き方をするということ。他人と違うことを恐れないこと。他人と違うことの中にこそ人間的な魅力(私はこれを『乱切りの魅力』と名付けている)が宿るのだということ。自分の生き方に胸を張ること。『自分みたいな人間がひとりくらいいても良いだろう』という開き直りをかますこと。自分を全力で肯定すること。動機もなく、きっかけもなく、あるのは瞬間瞬間に突き動かされる衝動だけだということ。衝動に身を委ねること。自分の殻を突き抜けること。世界を変えるのではなく、世界を増やす。 ー 『正解を答える』優等生的な生き方ではなく、『正解を増やす』アウトサイダー系の生き方をしよう。私の最大の関心はそこに注がれている。日本海に沈む夕日は目に見えて美しかったです。人生は続く。


坂爪圭吾 KeigoSakatsume/ibaya 
LINE:ibaya  keigosakatsume@gmail.com