いばや通信

ibaya≪いばや≫共同代表・坂爪圭吾のブログです。わっしょい└( ^o^ )┐

家入さんの選挙ボランティアに参加して感じた3つの違和感。 - 「正しさ」ではなく「楽しさ」で振り切れ -

家入一真さんが東京都知事選に立候補した時は身体中に電流が走った。

高齢者ばかりの候補者の中に、家入さんは彗星の如く登場した。常識として、若くても都知事選に立候補できることは知っていた。しかし、実際にそんなことをする人なんて未だかつて見たことが無い。常識が覆されて、私をはじめとした多くの若い世代は興奮した。あらゆるハードルが一気に下がった。それは一瞬の出来事だった。未来の扉が確実に開いた。

私はウルトラ興奮した。家入さんの放つメッセージは、「自分の人生を誰かによくしてもらったり楽しくしてもらおうとするんじゃなくって、自分たちの人生は自分たちでよくしたり楽しくしていこうよ」というものなのだと私は感じた。自分たちではコントロールできないものについてがやがや言うのではなく、自分たちでコントロールできるものについて語ったり実際に動かしていこうよ、と。こうしたメッセージに私は強く共感した。自分ではない何者かが決めた政策に「○か×か」で答えるのではなく、その政策そのものをみんなで考えることができたなら、これ以上画期的なことはない。

家入さんはオープンにボランティアを募っていたので、私は友人4人と参加した。


結論から言うと、以下の3つの違和感を覚えた。

①現場で起きていることと、出回っている情報のギャップが激しい。
②ボランティアスタッフが風紀委員みたいで、まるで未来を感じない。
③家入さんの強烈な魅力を、家入さんの周囲の人間が殺している。

渋谷駅交番前で家入さんが街頭演説を行った際、私もボランティアスタッフとして参加した。きっかけはシンプルで、ツイッターで情報が出回ってきたからだ。「18時半から街頭演説をやります。手伝える人は17時15分にハチ公に来てください」という情報だ。私たちはちょうど渋谷にいたので、面白い目に会える気がして参加を決めた。もちろん家入さんを応援したい気持ちもあったけれど、家入さんを好きな人にはきっと面白い人が多いだろうなと感じたのが最大の動機だった。面白い人たちと繋がれる良い機会になればと思って参加したが、結果としては強烈な違和感だけが残る形になってしまった。

①現場で起きていることと、出回っている情報のギャップが激しい。

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ツイッターなどで、このような写真が出回っている。これが渋谷ハック時の様子だ。

この写真を見れば、現場にいなかった人は「うわあ!すげえ人だ!渋谷ハックは大成功だ!」と思ってしまう。しかし事実は異なる。音響設備の不具合(音量不足)で、後方の人たちにはそもそもで家入さんたちの声は届いていない。渋谷の夜の交差点は、常に大量の人間で溢れている。街頭演説がなくても、だ。もちろん、この日この場所で家入さんを一目見るために立ち止まった人は多い。しかし、リアルに現場に居合わせた私や私の友人の体感として、盛り上がりを感じることはなかった。「全然ハックなんてできていないよね」と語り合った。誤解を恐れずに言えば、退屈で単調な時間がゆるく続いた印象だった。出回っている情報と、リアルに現場に居合わせた私たちが感じている思いとの温度差に、強烈な違和感を覚えた。実際に現場にいた人しか感じることができない情報があるのだと身を持って痛感することができたので、非常に勉強になった。

②ボランティアスタッフが風紀委員みたいで、まるで未来を感じない。

ボランティアのリーダーのような人がその場を仕切っていた。家入さんは「自由であること」「楽しむこと」を大事にしている人だと思う。私はその部分に強く惹かれて参加したのだが、ボランティアスタッフはまるで学生時代の風紀委員会の人みたいにガチガチだった。ああしなさい、こうしなさい、これをしてはいけません、言われたことだけをやってください、勝手なことはしないでください。規律が厳しく、参加していてとてもじゃないけど楽しいと感じれるものではなかった。家入さんが演説している様子をツイートしようとすれば「携帯はいじらないでください」と怒られてしまい、それでいて演説終了後には「渋谷ハック大成功!ってつぶやいてください」と言われた。なんだそれはと感じてしまった。つぶやきたければつぶやくし、つぶやきたくなければつぶやかない、という当たり前のことが通用しない世界だった。家入さんは限りなく自由な人でも、家入さんを好きな人は決して自由なわけではないのだな、と思った。とても勉強になったと同時に、私たちの中で何かが急激に冷めていくのを感じた。

③家入さんの強烈な魅力を、家入さんの周囲の人間が殺している。

最大の違和感はこれに尽きる。家入さんの魅力を、家入さんの周囲の人間が殺している。家入さんの強みは、そのオリジナリティにある。足りない部分ももちろんあるが、選挙活動がかつてなく斬新で可能性に溢れたものに映り、そこに私たち若い世代は希望を見た。家入さんの周囲の人間は、家入さんの足りない部分を埋めるために奔走した。一見正しいサポートのあり方のようでいて、問題はここにあると思う。足りない部分を埋める、なんてことを絶対にしてはいけないのだ。

「重要なのは、できないことではなく、できることである」とドラッカーは言う。

家入さんの周囲の人たちがすべきことは、足りない部分を埋めることなんかじゃない。やるべきことは、とにかく家入さんの「強み」を必死に伸ばすことだ。家入さんの強みは、他の候補者とは違う土俵で戦うことができるということだ。他の候補者の強みが「正しさ」なら、家入さんの強みは「楽しさ」だ。しかし、周囲の人間が行ったサポートは「他の候補者と同じ土俵で戦うため」のサポートだった。同じ土俵で戦って、他の候補者に勝てるわけがない。何より、他人の土俵(「正しさ」)で家入さんの魅力が伝わるわけがない。結果、街頭演説はとても無難なもの(優等生的なもの)におさまってしまった。応援に駆けつけた有名人たちも、ホリエモンを除けば知名度の低い人たちばかりだった。それでもエッジの効いた発言をすれば面白い展開を迎えることができたかもしれないが、結局「私は選挙のことは詳しくありませんが、家入さんとは仲がいいので応援します」程度のことしか言えずに終了した。

家入さんの魅力は「楽しさ」にある。家入さんの魅力は「正しさ」なんかではない。

他の候補者に「正しさ」で勝てるわけがない。他の候補者は正論のプロだ。それならば、「楽しさ」で振り切るしかない。しかし、家入さんの周囲の人たちは「正しさ」を前面に押し出してしまった。そのためなのだろう、非常につまらなく感じてしまった。せっかく開いた未来の扉が、ゆっくりと閉じていくのを私たちは感じた。誤解されると困るが、私は決して家入さんを批判したいわけではない。家入さんが成し遂げた功績はでかい。まじででかい。半端なくでかい。どこまでもでかい。未来の扉を一気に開いた。問題は、音響設備の不具合でもなく、刺さる演説が行われなかったことでもない。最大の問題は、家入さんの周囲の人たちが興奮によって客観性を失ってしまい、「渋谷ハックは大成功だった / 私たちのやり方は大成功だ」と感じていることだ。ものすごい貴重な体験を積み重ねている中で、内輪ノリ感が醸成されてしまって伝えるべき重要な情報がしっかりと伝わっていないということだ。

家入さんは「祭り」という言葉を頻繁に使う。これは決してバカ騒ぎをしたり、大声をあげてどんちゃん騒ぎをしようということではない。祭りは右脳を解放する。「普段は押し殺されている部分を解放することで、思い込みの殻をぶち壊して、明るい未来のイメージを感じていこうよ」というメッセージを、祭りというワードに込めているのだと思う。少なくとも私や私の友人たちはそう解釈し、ボランティアに参加した。しかし実情は異なるようだった。実際に、家入さんの周りにいる人たちは、ただただどんちゃん騒ぎがしたいだけなんだなと思ってしまった。そこに未来は感じなかった。例えるなら、成人式で暴れる若者達を見た時に感じる不快感だけが残ってしまった。「もったいない!超もったいない!」というのが素直な感想である。

今でも家入さんを好きな気持ちは変わらない。ボランティアに参加することで、参加しなければ決して見ることができなかった世界がたくさんあることも知った。月並みな言葉でしか表現できないが、ものすごい勉強になった。おそらく、家入さんの周りには「頭のいい人」がたくさんいるのだろう。ロジカル(論理的)に考えることが得意な人がたくさんいて、ロジカルに人々の心に訴えるような戦略を練ったのだろう。しかし、人間の心を動かすのは「ロジック(正しさ)」ではなく「エモーション(楽しさ)」だ。家入さんが都知事選に立候補したまさにその瞬間に感じた興奮や熱狂や希望は、決してロジカルなものではない。未来をつくるのは「正しさ」ではなく「楽しさ」だ。正論は人の心を動かさない。

未来に進もうとする力を、現在に引き戻そうとする力は半端なく強い。未来の強敵は現在の常識で、常識からどれだけ逸脱していけるかにすべてはかかっている。今の時代の「正しさ」に惑わされてしまわないためにも、「正しさ」ではなく「楽しさ」で振り切れ。自らにもそう言い聞かせていきたい。未来をつくるのは「正しさ」ではなく「楽しさ」だ。

【追記】

大変多くの反響をいただき、様々な方から共感とそれを遥かに凌駕するディスりをいただいたので、「都知事選を終えて。 ~北風よりも太陽になろう~」で感想をまとめました。

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