いばや通信

ibaya《いばや》共同代表・坂爪圭吾のブログです。

この人でもいいかなではなく、この人といたいと思える人といること。

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伊豆山神社で初詣をしてから、近所の小道を散歩していた。伊豆山神社とは、源頼朝北条政子が結ばれた場所であり、現在は「縁結びスポット」として広く知れ渡るようになっている。837段の石段を登った先から眺める、境内からの風景が素晴らしかった。この時期でも、昼間の熱海は温かい。最高気温は20度近くまで上がり、山を吹く風には「涼しさ」を感じる。

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元旦の早朝7時前に、ふと、目が覚めた。大晦日の夜は、茨城在住の男性と、千葉在住の女性と、新潟在住の男性と、四人で過ごした。男性は過去に会ったことのある人達だが、女性とはこの日が初対面だった。数日前に「一緒に年を越させていただくことは可能ですか?」と言う内容の連絡が届いて、結果的に、私達は(初対面同士も含めた四人で)温泉にはいったり夕食を囲みながら大晦日の夜を過ごした。翌朝、自宅前に昇る朝日が綺麗だった。

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昼前頃、私は「初詣に行こう!」と言い出した。自宅から歩いていける場所にある伊豆山神社に、私は、まだ行ったことがなかった。私が住む家の界隈は、長崎や尾道と似ている。はじめて歩く小道を通りながら、坂を登り、人気のない場所に流れる小川や、道端に咲く花など、隠された自然を発見してはテンションを高めていた。

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山の中に家があるために、必然的に徒歩での移動が増える。来客がある際は、片道30分程度の駅までの道のりを、一日に三往復することもある。しかし、私は駅から家までの道がほんとうに好きだ。何回歩いても飽きない。飽きないどころが、新しいポイントを見つけては勝手に愛情を深めている。この道には、空気が変わるポイントがある。都市の空気と、自然の空気の、境目のようなものに触れることができる。この感覚がほんとうに大好きで、大袈裟な言葉で言えば「神に包まれている」ような安堵感と清涼感を覚えることができる。

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伊豆山神社の境内から

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この人でもいいかなではなく、この人といたいと思える人といること。

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ほんとうにありがたいことに、様々な方々から様々なものを頂戴する。去年の今頃、家のない生活をしていた私は、全国各地を流転しながら岐阜県の飛騨高山に足を運んでいた。そこで知り合った女性から「引越し祝いです!」という言葉と共に、蕎麦や、餅や、湯の花、手紙などをいただいた。手紙には「ほんとうは実際に家まで行けたらいいのですが、いま、三人目の赤ちゃんがお腹にいるもので!」と書かれていた。彼女の年齢は、まだ、24歳である。年齢は関係ないのかもしれないが、優しい思いやりの数々に感動を覚えた。

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横浜に住む女性からは、三冊の本が贈られた。そのうちの一冊「SNOW FLAKES」というアメリカの本は、ただ、様々な形の雪の結晶を集めた写真集になる。その写真が、その結晶が、その営みが、息を飲むほどに美しい。この場所に届けられた『無理矢理にでも誰かに読ませたい本』の数々は、すべて、次のひとに回していく循環型のスタイルで展開していく。彼女も「是非、必要なひとに届きますように!」という言葉を添えてくれた。

去年の今頃、私は、佐渡島の漫画喫茶で孤独に年を越していた。当時の私が「家のないお前は一年後、家を購買してもらい、年越しは自然に囲まれた熱海の自宅ですることになる。そして、お前の家にはたくさんの荷物が届き、図書館的なこともやりつつ、謎に感動しているはずだ」なんて言われても、微塵も信じることはできなかっただろう。それが、これだ。人生は、予測不可能な出来事の連続だ。何が起こるかわからない。そのことは時に人間を不安にさせることもあるが、それ以上に、自分をこどもの状態に戻らせる、目に映るすべてが非常に新鮮なものになる、この瞬間をワクワクさせる力がある。

自分が「これだ!」と思う気持ちを大切にしよう。自分が「好きだ!」と思う気持ちに殉じれば、いまはまだ想像することもできないような素晴らしい場所に行くことができる、そういうことが、人生にはある。花は綺麗だ。目的地があるから歩くのではなく、取り急ぎ歩く、何となく歩く、歩きたいから歩く、そして「自分でも意識しない内に勝手に歩き出すようになってしまった」ひとが、道端に咲く花を見つけたり、雪の結晶の美しさに心を震わせたり、現在の自分にはまだ想像することもできないようなとんでもない所まで、実際に足を運んでしまうのだろう。


人生は続く。

静岡県熱海市伊豆山302
坂爪圭吾 KeigoSakatsume
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