いばや通信

ibaya《いばや》共同代表・坂爪圭吾のブログです。

【圧倒的肯定力】やりたいことをやる勇気と同じくらい、やりたくないことをやらない勇気も重要だ。

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野田知佑著作「のんびり行こうぜ」の中で、強烈に印象的な箇所があった。野田さんはカヌー乗り(誤解を恐れずに言えば「カヌー馬鹿」)で、世界中の川をカヌーでくる日もくる日もくだり続ける。公務員を嫌悪しており、著書によれば実際に公務員を川に投げ込んだこともあるらしい。要するに破天荒な人だ。

マッケンジー川を下った時に会ったカナダのコースト・ガード(日本の海上保安庁にあたる)の船の話を書く。これは一度どこかに書いたことがあるが、何度でも書きたい。北極海に近いイヌビクの町の川原で休んでいる時、ぼくはゴードンという名の男に声をかけられたのだ。彼はそのあたり一帯を守備範囲とする警備船『デューミット合』の船長で、三ヶ月の川旅で乞食のようになっているぼくに、シャワーを浴びに来い、汚れ物を洗いに来いと言った。
ぼくはそれからイヌビクに滞在中毎日彼の室のシャワーを使い、彼のスコッチを飲み、船の図書館で机に座って本を読んだ。ゴードンはぼくが行く予定の川の水路、海の水深、波が高い時の避難場所など、実用的なアドバイスを沢山してくれた。彼と飲みながらこんな話をしたことがある。
「もしぼくがこれからグリーンランドまで行くと言ったらどうする?」
「ぼくの持っている北極海の情報を全部君に与えて、グッドラックという。それだけだ。九十九パーセント君は死ぬだろうが、それは君の問題だからね」
大人の国の男たちはいいものである。

以上だ。ゴードンの発言が素晴らしい。あらゆることは「その人自身の問題」であり、その人がそうしたいと思うのならば、周囲の人間ができることは「可能な限りの実用的なアドバイスを掻き集めて、グッドラックということ」程度なのだろう。

昨日、東京の国立で「坂爪圭吾を囲む会」的なトークセッションが開催された。そこに、ひとりの女性が参加してくれた。彼女は、数か月前に三軒茶屋で開催されたイベントにも参加してくれていて、「実は、今日は坂爪さんにお礼が言いたくて来たのです」と告げてくれた。その場で彼女は話してくれた。

「今年の8月に突然身体を壊して、急遽入院することになりました。健康診断的なものを受けたら、子宮に問題があることが発覚して、医者からは『9月上旬ならスケジュールが空いているので、この日に手術をして子宮を摘出しましょう』と告げられました。私はあまりにも突然のことにびっくりして、その場では『ちょっとだけ考えさせてください』と言うだけで精一杯でした。今までの私だったら、医者から手術をしましょうと言われたら、『ああ、自分は手術をするしかないんだ』と医者の言葉(本当はやりたくはないけれど、そうするしか他にないと思っていたこと)を、そのまま受け入れていたと思います。だけど、坂爪さんの文章から何か強い影響を受けていて、この場では『ちょっとだけ考えさせてください』と言葉にすることが出来ました。そして、手術は10月に延期されました。手術の日程が変更されたことで担当の医者も変更することになり、『手術日が変わると担当医も変わるのかい!私はモノか!』って思ったりもしたけれど、結果としてはこれが最高の形で功を奏することになりました」

「最初の担当医は女性だったのですが、私はなんだかこの女医を(感覚的に)あまり好きになることが出来ませんでした。その次に担当になった医者は若い男性で、私の話を親身になって聞いてくれました。私はそのことがほんとうにうれしくて、手術前に感じている不安なども言葉にして伝えることができました。すると、驚いたことに『止血剤とか飲めば、子宮は摘出しなくても大丈夫ですよ』という言葉が男性の口から飛び出しました。私は驚いてしまって(と言うのも、この前の女医はそんなことは微塵も教えてくれなかったから)『そうなんですか?!』とアゴが外れました。若い男性の医者は『大丈夫です。医者によっては手術をすすめる人もいますが、私の患者さんは手術をしないで克服した人もたくさんいるので、それでは手術をしない方向でこのまま様子を見てみましょう』と優しく微笑みかけてくれました」

「坂爪さんのブログを読んでいなければ、私は女医の言葉に従って手術をしてしまっていたかもしれないと思うとゾッとします。医者だからとか、親だからとか、先生だからとか、何かこう『大きな人の存在』の言葉には絶対に従わなければいけないみたいな思い込みがすごいあったのだけれど、必ずしもそうする必要はない(むしろ『そうしてはいけない場合もある』)のだということを知りました。自分の心は最高のセンサーのようなもので、最初の女医を『なんだかあまり好きになれない』という感覚に従った自分に『私のハート、グッジョブ』と言ってやりたいです。そして、今日は坂爪さんにそのことについてのお礼も実際に会って言いたかったので、このイベントに参加しました」

私は、この話を聞いて「うおー、すげー」と思った。もしも私が女性と同じ立場にいたら、医者の言葉を鵜呑みにして手術台にレディゴーしていたと思う。誤解されると困るが、私もこの女性も、現代医療のシステムを批判したい訳ではない。「やりたいことをやる勇気と同じくらい、やりたくないことをやらない勇気も重要だ」ということと、「目の前にある選択肢以外にも、また別の選択肢が存在している(常に希望は残されている)」ということ、この話を聞いて猛烈に痛感した。

今年は日本全国で開催されるトークセッションに招待されて、様々な人と出会った。私は現在29歳で、普通だったら出会わない人とも大量に出会うことが出来た。普通に生きていると、どうしても「自分と似たような人たち」に囲まれてしまう。こうしたトークセッションなどの参加者の年代は20代から60代までと幅広く、非常に豊富な人生体験に触れることができる。


2015年も、必要とされる限り様々な場所を巡り続けて、多くの出逢いを重ねて行きたい。もしも「坂爪圭吾を呼んで何かイベントをしてみたい」と思ってくださる方がいれば、いつでも気軽にご連絡ください。基本的には何処にでも行きます。この文章から感じる私のイメージと、実際に会って感じる私のリアルの間には、多分、結構なギャップがあると思う。精神の都合でなかなかメールの返信が出来ない場合も多いのですが、大目に見ていただければ幸いです。

《坂爪圭吾のスケジュール》 坂爪圭吾

2015年の私のテーマは「圧倒的肯定力」であり、もう、何かを批判したり暴露したりお互いに罵倒し合うために貴重な時間やインターネットという空間を利用するのは終わりにしたい。圧倒的肯定力ですべてを包み込み、前向きなエネルギーに変えて「固い世の中を比較的ほぐす!」ことに自らのエネルギーを投下していきたい。余裕を失うとユーモアが消える。私は、私が好きだなと思う人間たちと一緒にいたい。基本的には笑っていたいのだ。「続きはWEBで」ではなく、続きはリアルで。

人生は続く。

坂爪圭吾 KeigoSakatsume《ibaya》
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