いばや通信

ibaya《いばや》共同代表・坂爪圭吾のブログです。

自分にはこの身体とこの精神しかないのだから、死ぬまで付き合っていくしかない。

今週の水曜日から東京に来ている。様々な人に会った。SNS経由で「面白そうだから一回会って話してみたい」という連絡を10件程度いただき、「続きはWEBで」の時代は終わったのだと思った。WEB上で先に知り合った人たちが、自分と似た感性の持ち主とリアル社会で対面を果たしはじめているもう既に時代は「続きはWEBで」から「続きはREALで」に突入している。

東陽町にあるシェアハウスの屋上にテントを張って暮らしている。昨夜は風が強く、とてもじゃないけれどテントが張れる状態ではなくて私は途方に暮れていた。すると、そこにひとりの男性が現れた。年齢は40歳を少し越えた位で、大人の色気というものを兼ね添えている男性だと感じた。男性は私のこのブログを読んでくれており、「時間があるなら少し話さないか?」と声をかけてくれた。そこで交わした話のすべてを記録することは出来ないけれど、男性がふと漏らした言葉を今でも覚えている。

「例えば森で生活をしていても、ひとりじゃやっぱりさみしくなると思うんだ。人は、誰かと話したくなるんじゃないかな」

そうだよな、と思った。誰だってさみしくなる時がある。それは都心で生活をしていても同じだ。誰かと話したい。自分の気持ちを誰かに伝えたい。その人の話を聞いてみたい。そうした感情は誰だって抱くことがあると思う。そして、そうした願いを叶えられない瞬間に人はさみしさを覚えたりする。

男性と会う前に、私はひとりの女性と話をしていた。彼女は言った。「私は、こんなことは他の誰にも言えないんだけど頻繁に死ぬことについて考えてしまってそれがものすごい怖くなってしまうことがある。こんなことを言うと頭がおかしいって思われるかもしれないこと位はわかっているから別に話したりもしないんだけど、坂爪さんならその気持ちをわかってもらえるのかもしれないと思って、それについて話してみたくて今日は話してみたいと思った。私は死ぬことが何よりも怖い。自分が消えるということがどうしようもなく怖くて、だけど坂爪さんのブログを読んでいると過去に死にたいと思ったことが何度もあるって書いてあって、それがどういう感覚なのかとか聞いてみたいと思って連絡をした。」

人は必ず死ぬということを私は頻繁に思う。どのような生き方をしていたとしても人は必ず死ぬ。やがていなくなる。消え去ってしまうものであり、流れ過ぎていくものであり、永遠に存在していることはできない。それは虹と似ているのかもしれない。それは夕日と似ているのかもしれない。虹は消えるし夕日は沈む。いつまでもそれを眺めていることはできない。死ぬことについて坂爪さんはどういう風に考えているのかと尋ねられて、私はそのようなイメージを覚えていた。「他人って、何のために存在しているんだろうね」って私が漏らすと、その女性は即答した。

「それは自分を確認するためだよ。他人を通じてしか、自分を確認することは出来ない」

私には答えを出すことはできない。何かを常に考え続けていて、生きるということがどういうことなのか分からないままにただただ生きていたいという欲求にどれだけストレートに従っていけるだろうかという、自分でもよく分からない実験を行っている。実験という言葉は堅苦しいし無味乾燥な響きを帯びる。実験というよりも、体験。私は生きているというのはどういうことなのかを体験したいと思っている。この女性との会話の中で、私は別に何も効果的な解答も見解も示すことはできていない。

多くの人たちと会話を交わす中で、本当は楽しいと思っていいはずの場面で楽しいと感じることができていない自分がいることを感じることがある。すべての瞬間をハッピーに感じることは今の自分にはまだまだ出来ない。そうした自分に対して拙さを覚えることもあるけれど、私にはこの身体とこの精神しかない。別に今何かに対して深刻になっているわけではないけれど、自分にはこの身体とこの精神しかないのだということは真実だ。そのことの意味を昔よりはしっかりと捉えられるようになってきている気がする。自分にはこの身体とこの精神しかないのだから、死ぬまで付き合っていくしかない。

「出来ることなら愛していたい」

今は2014年4月11日の金曜日だ。時刻は9時53分。東陽町にあるベローチェというカフェからこの記事を書いている。周りにはたくさんの人がいる。手際良く店員が空いたグラスを下げる。いくつもの声が交差している。皆が何かを行っていて、皆が何かを感じている。今日もたくさんの人と会う。私は、これから何を覚えて行くのだろうか。東京生活の3日目がはじまる。人生は続く。

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坂爪圭吾 KeigoSakatsume/ibaya 
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