いばや通信

ibaya《いばや》共同代表・坂爪圭吾のブログです。

手を離すなよ。

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東京界隈で花を配っている。様々な方々の自宅にお邪魔する機会が多いが、なんだかこの人はいい感じだなと思う人の家には、必ず植物があった。花とキャンドルがあれば生活は潤う。そう思っていたが、前にお邪魔した家には花もキャンドルも絵画もあり、装飾的にはバッチリだったにも関わらず寒気を覚えた。モデルルームみたいに完成されたその部屋を見て、モデルルーム特有の血の通ってなさを感じた。

 

おおまかなスケジュール

12月10(金)那覇

以降、FREE!(呼ばれた場所に行きます)

 

完成品の冷たさと、未完成品の温かさ。

愛媛で会ったN様が言った。ずっと憧れていたアーティストのライブに行くことができて、あまりにもその人のことが好きだから自分は絶対に泣いちゃうと思っていた。しかし、全然感動しなかった。ライブに行った後もその人の曲は引き続き聞いているが、どうして感動しなかったのかを考えたら「出来あがり過ぎていた」からだと思った。と。この話を聞いた時、私は登山と野営を思い出した。登山の醍醐味は苦しさにある。道のりが苦しいほど、達成した喜びは大きい。野営の醍醐味は不便さにある。不便な環境に置かれるからこそ、普段は発揮する必要のない野性味、言い換えるならば知恵や工夫を発揮できる。出来あがり過ぎているものはつまらない。パッケージツアーに似ている。旅と旅行は違う。人生は、旅であって欲しい。

 

昨日、15年間統合失調症を患っている女性H様に会った。H様は生きる希望を見つけるために「統合失調症寛解」などと言ったワードをネットで検索し、病気を克服して幸せそうに生きている人間を探した。しかし、そういった人間は極めて稀だった。そんな中、私の存在を知り「この人の話を聞いてみたい」と思って連絡をくれた。待ち合わせ場所に到着すると、H様はお弁当を差し出しながら言った。坂爪さんのことを知って日は浅いけれど、言葉に愛を感じる。読み終わった後に心が軽くなり、温かい気持ちになる。私は、友達などには驚かれるのだけれど自分が会いたいと思った人には誰にでも会いに行っちゃうところがある。だから、坂爪さんがどういう人なのかを知りたくて、そのエネルギーに触れてみたくて連絡した。と。

 

H様は続けた。前に演劇のワークショップに参加したことがある。そのワークショップは独特で、自分の心から発された言葉以外は全部無視をされた。演劇のプロは頭の言葉と心の言葉を容易に聞き分ける。だから、上っ面の言葉を言っても全部が見事に無視された。本当の言葉以外は通用しない。あの体験は衝撃的で未だに鮮明に覚えているのですが、坂爪さんといるとあの時の気持ちを思い出す。自分には提供できる価値がないし、面白い話をすることもできない。だから、なんだか、ごめんなさい。そういうことをH様が言ったので、私は「面白い話って、面白い話じゃなくて、人間を馬鹿にした話だと思う。人間を舐めている話だと思う」と言った。

 

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手を離すなよ。

本当の言葉以外は通用しない。だったら、ただ、本当の言葉を言えばいい。私はあなたに会いに来たのであって他の誰かに会いに来た訳じゃない。あなたがあなたの話をしてくれることが一番充実した時間になる。世間一般的な面白い話をしても、情報が消費されて終わるだけだ。俺が触れたいと思うのは、情報ではなく情熱だ。目の前のあなたの命に触れたいのであって、ここにいない人の話はどうでもいい。そういうことを伝えると、H様は「そうですよね」と言った。そして、自分の思いを静かに語り出した。「前に坂爪さんも書かれていましたが、私の中にも『どうせみんな離れていく』という思いが強くある。坂爪さんは、もう、すでにそのような思いからは自由であるとは思いますが、私は、どうしても調子が悪くなると物事をネガティブに考えてしまって、自分でも抑えられなくなることがある」と言った。

 

結局その時は時間が来て、これといった結論を出すことなく私たちは別れた。H様から「坂爪さんが寛解できた秘訣は何ですか」と聞かれたが、うまく答えることができなかった。私の場合は途中で勝手に薬を飲むことをやめ、ビリーズブートキャンプを突発的にはじめたことにより停滞していた血液が再び身体を巡るようになり、過食により太り過ぎていた体が目に見えて減量した影響は大きい。だが、これは表面的なアプローチであって、もっと根本的な『何か』があるような気がした。どうせみんな離れていくという言葉が、妙にひっかかった。確かにみんなは離れていくかもしれない。しかし、それでも「俺からは離れない」と決めたことが、自分を寛解に向かわせた気がする。繋がれた手は、両者が手を離した時、はじめて散り散りになる。しかし、どちらか片方が手を繋いだままでいれば、繋がれた手が離れることはない。相手が自分を嫌ったとしても、それでもなお、自分は相手のことが好きだと言う思いを抱くことができていたら、繋がりは保たれたままだと思った。

 

その後、自由が丘駅で一人の男性K様と会った。K様が激しく緊張をしていたので「どうしたのですか」と尋ねると、彼は、鞄から障害者手帳を取り出して「自分はこれなんです」と言った。言いたいことはわかったが、やっぱりよくわからなかったので「だからなんですか」と再び尋ねた。一時的に圧迫面接みたいになったが、ここは面接の舞台ではない。ただ、一人の人間と、一人の人間が、互いに合意の上で対面している交歓の舞台だ。K様は野球が好きだと話した。私も野球は好きだと答えた。春になったら一緒にキャッチボールでもやりましょう、ちょうど私の数少ない友達同士の間で草野球チームを作ろうみたいな話があがっているのです、経験の有無は一切問いません、チームの名前は「エラーズ」なんていいよねみたいなことを話しています、私たちは全員、何かしらの形で社会から落ちこぼれています、でも、社会から落ちこぼれたとしても野球を楽しむ自由は残されているはずです、そういうことを話していた時、H様からメールが届いた。H様と別れたあと、私が「手を離さないことが大事だと思います」と投げたボールに対する返信が届いた。

 

坂爪さん
 
どういたしましてです!
 
坂爪さんの文章の、
それでも自分は心を開き続け、
手を離さないという愛に、感動しました。
 
もう、手を離さない勇気を持ちたいです。
 
あと、坂爪さんにお会いして、
坂爪さんの優しさと思いやりに、
ガツンと頭を殴られたような
衝撃を覚えました。
 
自分のもう会わなくなった友達に
プレゼントを送った時、
優しい気持ちでメッセージを
付けたかったなぁとか。
 
あと、面白い話しについても。
相手の感度や想像力を
舐めちゃいかんな!と。
ただ、自分であるしかないんだなと。
勝手に相手のこと、
決めつけちゃいけないですよね。
 
お花可愛いですね。
お部屋で愛でています。
 
本当に幸せを
運んでくれました。
 
この度は、ありがとうございましたm(_ _)m
 
感謝しています。
 
また、いつか!

 

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人生は続く。

 

坂爪圭吾 KeigoSakatsume
keigosakatsume@gmail.com
SCHEDULE http://urx2.nu/xkMu

 

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