いばや通信

ibaya《いばや》共同代表・坂爪圭吾のブログです。

君が無価値なら、全部無価値だ。

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香川を経由して愛媛にいる。朝日を浴びる習慣に自分自身が救われている。まだ、誰にも汚されていない空気の中を歩くと「昨日までの全部はリセット!新しい一日を始めよう!」という気持ちになる。初めて訪れる土地でも、散歩をすることで環境に体が馴染む。道中、通学途中の学生に怪訝な目をされながらゴミ拾いなどをすると更に馴染む。無関係だった場所が、ゴミ拾いをすることで自分と関係を持つ。

 

おおまかなスケジュール

11月29日(月)愛媛

以降、FREE!(呼ばれた場所に行きます)

 

生活と祈り。

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特別な出来事や劇的な変化はなくても、規則正しい生活が自分を救うことがある。数年前、エネルギーを持て余した私は横浜〜長崎〜広島を折り畳み自転車で移動した。長距離を移動すれば何か変わるかなと思ったが、達成した瞬間の感慨は特になかった。だが、旅の過程で刻まれた記憶がある。岡山と広島の県境にある民家にある日一泊お世話になった。農家を営むその家では、日の出と同時に畑に出る。朝日を浴びるために外に出た時、作業着に着替えたおばあちゃんが太陽を拝んでいた。

 

掌を合わせ、小さな声で囁きながら、最後にゆっくりと丁寧なお辞儀をした。誰かが見ているからやっていることではなく、毎日、毎日、おばあちゃんはこうして昇る朝日に手を合わせていることが窺い知れる、静かな祈りだった。その声に耳を傾けると、おばあちゃんが「お天道様」とか「ありがたい」と言っていることがわかり、私はその場を動けなくなった。いま、自分の目の前でものすごい美が立ち現れようとしている。そう思ったら、朝日に負けずとも劣らない美しい自然を目の前にしている気がして、その場を動けなくなったのだ。琴線に触れるとはこういうことを言うのだなと思った。祈ると言う形式と、人間の精神が一致をした瞬間を見た。

 

道端のゴミを拾うことで、大袈裟だが自分にも生きている意味が少しはあるのかなと思う。生きているだけでいい、存在しているだけで価値があると言う考え方も、わかる。だが、心の底では「良い働きをしたい」という切実な思いが、誰の中にもあるのだと思う。給料が発生するものだけが仕事ではなく、給料が発生しない仕事もある。給料以外のものが、目には見えないエネルギーが発生をしている仕事がある。関与をするって、そういうことなのかなと思う。見て見ぬ振りをするのではなく、自分から手を差し伸べること。他者に、世界に、自分に働きかけること。地味で、目立つことのない、規則正しい生活に救われた。祈りは、生活の中にあった。

 

君が無価値なら、全部無価値だ。

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愛媛県でM様にお会いした。生きていれば様々な出来事が起こる。家族の誰にも話せない出来事。とてもじゃないけれどブログには書けない出来事。まさか自分にこのような出来事が降りかかるとは思っても見なかった出来事。行く先々でそういった出来事を聞かせていただく機会がある。こういう時、完全なる外部である自分の存在意義を少しだけ感じる。明るく元気な人が常に幸福に恵まれているとは限らない。逆だ。彼らは、大変な出来事を経由してその明るさを獲得している。M様は笑いながら言った。坂爪さんに会えるならもっと痩せて綺麗なときに会えたらいいなって思っていたのだけれど、毎日が必死でそれどころではありませんでした。と。

 

普段は無口なはずなのに今日は喋り過ぎてしまったと反省をしたM様が「好きな人の前では一番可愛い自分でいたいのに、一番最悪な自分が出てしまう」と言った。その言葉が一番可愛いと思った。綺麗なものは相対的で、美しいものは絶対的だ。顔の造作が整っているとか、若くて肌に張りがあるとか、スタイルが良いとかではない。その人がその人であることそのものに美しさがある。その人がその人の命を燃やす姿そのものに美しさがある。人間の本質は比較では語れない。本当の魅力は誰とも比べることができない。M様の息子様は、学校の成績があまりよくないらしい。ただ、息子が一生懸命勉強する姿に母として毎日心を打たれていると話した。テストの点数で人生が決まる訳じゃない。点数の横にある、自分の名前をどれだけ信じられるかで人生は決まる。テストは0点でも、自分の名前は間違っていない。

 

M様は、辛い時には映画を見る。好きな映画は仁義なき戦いで、映画を見ながら鍋を囲むことを任侠鍋と呼んでいた。最近『ザ・ピーナッツパター・ファルコン』という映画を見た。孤児でダウン症の少年が悪役レスラーに憧れて、施設を脱走して英雄に会いに行くロードムービーだ。悪役レスラーは、少年に「疑いは弱さだ。自分を信じろ。ワルになれ。ただのワルじゃない。超絶ワルを目指せ」と言う。その言葉に衝撃を受けた少年は施設を脱走するのだが、仁義なき戦いにもこの映画にもお手本になるような優等生は一人も出てこない。ただ、彼らが自分の思いに真っ直ぐに従って生きるその姿から、善悪を超えた力を貰う。少年が施設を脱走する際、一人の老人が鉄格子を押し広げて少年の脱走を手助けする。少年を見送る時、老人は「気を付けろ」とか「元気でな」みたいな言葉を、一切言わない。その代わりに「ぶちかませ」とだけ一言伝え、憧れに向かって走り出す少年の背中を見送った。

 

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人生は続く。

 

坂爪圭吾 KeigoSakatsume
keigosakatsume@gmail.com
SCHEDULE http://urx2.nu/xkMu

 

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