三重県志摩市国府白浜にいる。サーフィンを初体験した。最高だった。「なんだこれは」と思った。こんなに面白いものが世界にあったのか。なぜ、誰も教えてくれなかった。承認欲求に殺されそうな人や、家族の問題、愛情不足、慢性的な閉塞感を覚える人は、是非、やったほうがいい。多分、全部、吹き飛ぶ。初体験でボードの上に(割と早い段階で)立てたことが自慢だ。自前のボードが欲しい。スーツは一着ももっていないし、欲しいとも思わない。しかし、ウエットスーツなら欲しい。葬式のときは「これが喪服です」とか言って、ウエットスーツで登場したい。
おおまかなスケジュール
5月4日 15時 EVENT@三重県志摩市「SURFERS HOME HANA」
5月5日 19時 EVENT@愛知県名古屋市「夜空と月のピアス」
5月6日-10日 FREE!【イベント出演依頼諸々募集中!】
5月11日 昼・群馬県伊勢崎市 夜・FREE!
5月12日-16日 FREE!【イベント出演依頼諸々募集中!】
5月17日 14時 EVENT@東京都杉並区西荻窪「hana」
5月18日以降、FREE!【イベント出演依頼諸々募集中!】
5月26日 15時 定期演奏会@神奈川県横浜市「わたり食堂」
6月2日 15時 EVENT@千葉県千葉市「N-HOTEL」(詳細決まり次第更新)
坂爪圭吾 SCHEDULE on http://urx2.nu/xkMu
いいねの数より「いね(去ね)」の数。
野営をしながら移動をする。テントを張る。お湯を沸かす。それだけのことが、どうしてこんなにも楽しいのだろう。落ち木を拾う。枝を折る。着火する。焚き火を囲む。肉を焼く。それを食う。それだけの時間に、すべてが、ある。金がないから、食うものは質素だ。しかし、出会う人々が「これを食料に」と、様々な物資をくれる。おかげで、死なないでいられる。私が、青色と、赤色と、金色が好きだ。青と赤は、自分にある色。金色は、自分が『憧れている色』だ。数ある金色のうち、夕日が沈む時に放つ金色と、木々が燃えて炭化する直前に放つ金色が好きだ。
道中、高速道路のパーキングエリアで、タバコを吸った。iQOSの営業女性が「iQOSいかがですか」と執拗に勧めてきた。営業トークは大嫌いだ。わたしは「大丈夫です」と最初は菩薩風に答えたが、彼女があまりにも執拗だったので「どんな気持ちで仕事をしているのですか?」と聞いた。多分、彼女は、自分を『仕事ができる女』だとでも思っているのだろう。しかし、俺には、全部、バレている。その、下品な笑顔の仮面をいますぐに外せ。そう思った。営業トークとは何か。社交辞令とはなにか。愛想笑いとは何か。そういうことを思いながら「このひとになんて言えば気持ちが伝わるのだろう」と思い、一緒にいた保科さんと、しばらく検討をした。その結果、俺は、彼女に対して「死ね」と思っていることが判明した。
誰だって、過剰な営業トークにうんざりした経験はあるだろう。その際、どのような対応がベストなのか。愛想よく断ればいいのか。しかし、愛想よく断る限り、彼女は、謎の営業トークをこれから先も続ける。私には、彼女の振る舞いが、彼女を幸せにしているようには思えなかった。だから、私は「目を覚ませ!」みたいな気持ちを込めて「死ね」と言いたかった。お前はこんなもんじゃないだろう。と。いいねの数より「いね(去ね)」の数。それが一番大事。だが、こういうやりとりは、反動が大きすぎるためになかなかうまくいかない。うな垂れた私は、車内でMr.Childrenの深海を聞いた。深海は、個人的に『平成一番の名盤』である。【es】の歌詞に「それでも人が好きだよ」とあり、私は、繰り返し首を振り続けた。
わたり文庫『すみわたる夜空のような』
今回のわたり文庫無料郵送の一冊は、銀色夏生著作『すみわたる夜空のような』です。この本に「何かがだんだんあいまいに死んでいくようなつきあいよりも、すみわたる
※※※ こちらの本は、岐阜県にわたりました ※※※
「君へ」君は好きなことを、好きなふうにやるべきだ。そのことが他人から見て、どんなに変でも、損でも、バカだと言われても、気にするな。だって彼等は、君の願いを知らない。君が何をめざし、何に向かっているのかを知らない。君は彼等とは違うものを見てるのだから。あの、強い思いだけを、繰り返し思い出して。そのことを忘れないで。他人の説教やからかいなど気にせずに、どんどんやりなさい。けして周りを見たらダメだ。仲間はいないんだ。すくなくとも途中には。君はやりたいように、どんどんやりなさい。やりたいことを。好きなやり方で。その行為が同時に君を救うだろう。その行為は同時に人をも救うだろう。そのことを忘れないで。銀色夏生「すみわたる夜空のような」【角川文庫】
涙が出るほど自由になりたい。
男と女について考える。野営の際、女は、正直「足手まとい」になる。トイレがどうだの。シャワーがどうだの。虫がどうだの。だから、基本、置いていく。一緒に行きたいと言われても、邪魔になるから捨てていく。しかし、ひとりになった先、焚き火を囲みながら思うことは、その『女』についてだったりする。置き去りにしてきたものを、ひとりになった時に愛しさと同時に思い出す、自分はなんて身勝手な男なのだろうかと思う。置き去りにしてきたのは自分なのだが、自分もまた「置き去りにされている」感覚がある。片方だけをやることは、できない。傷つけるだけ、とか、傷つくだけ、とか、ない。ひとは、傷つけながら同時に傷ついている。そして、傷つきながら傷つけている。一蓮托生。加害者と、被害者はセットだ。
そして焚き火を囲む。ふと思う。俺は、落ち枝にとどめをさしているだけなのに、なぜ、これほど楽しいのか。燃える炎を眺めると、人間の一生を見ているような、気持ちになる。生きて、燃え、灰になる。灰になる直前、息をふきかけると、すべての木々は、黄金色に燃える。ゴールド。召される直前、誰もが、ゴールドになる。おつかれさまの、金メダルだ。遅かれ早かれ、我々は、輝く。遅かれ早かれ、我々は、金色になる。ひとは必ず死ぬということ。iQOSの販売員も、そう遠くない未来に、必ず、死ぬ。目の前にいる人間に対して「ああ、このひとも、遅かれ早かれ死ぬんだな」と思えば、大概のことは許せる。一同、同じ穴のムジナになる。
海岸に到着する。色々なことを思いながら、サーフィンを初体験する。大きな波が来る。初心者は、波に対して、直角にボードを構えてバドリングを続け、よし、波に乗ったと思えた瞬間に『飛び乗る』のだと、教わった。大事なことは、思い切りだ。思い切りが足りないと、失敗する。人生も似通っている。波が来る。態勢を整える。全力でパドリングを続け、よし、いまだと思った瞬間に『飛び乗る』。ひょいとボードの上に立ちあがり、しばらく、波の上を走る。生まれてはじめての体感が、全身を包み込む。言葉にならない。それほど長い時間は立っていられないから、絶叫をしながら海に落ちる。五月の海。冷たいが、最高だ。気がつけば、ガッツポーズをしている自分がいた。ガッツポーズのなかには、嬉しさや、楽しさが、ある。嬉しさと、楽しさ。音楽をやっていても思う。この曲はかっこいいなと思う曲は大量にあるが、この曲を聞いていると「うれしくなる」曲は、少ない。わたしは、楽しさと同時に『うれしさ』を、生み出していきたい。その生き方の先に、ガッツポーズが待っている予感を感じさせる、そういう言葉を生み出していきたい。
一生の間に、強く心を惹かれるものとの出会いは、それほど多くはないのだと思う。何か【誰か】を好きになることは奇跡みたいなことだから、自分の心が強く惹かれたものには、嫌われてもいいから、傷ついてもいいから、ダメになってもいいから、素直に、正直に、恐れながらもぶつかっていきたいと思う。
— 坂爪圭吾 (@KeigoSakatsume) 2017年9月2日
人生は続く。
坂爪圭吾 KeigoSakatsume
keigosakatsume@gmail.com
SCHEDULE http://urx2.nu/xkMu