いばや通信

ibaya《いばや》共同代表・坂爪圭吾のブログです。

居場所とは、場所ではなくて人間だ。

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熱海の生活も5日目にはいった。先日、整体師の方に身体を見てもらう機会に恵まれた。長年の移動の疲労が蓄積していたのか、腎臓と肝臓がおかしいということが判明した。具体的な三つの対策として「生姜とこんにゃくを食べること」「散歩をすること(太陽を浴びること)」「半身浴をすること」が告げられた。諸悪の根源は『身体の冷え』『血液の汚れ』『食べ過ぎ』の三つだと聞いた。


このような投稿をしたら、様々な方々から「本を送ります!」と連絡をいただいた。誰でも、一冊や二冊は『誰かに無理やりでも読ませたい本』を持っていると思う。それを読みたい。自分が本屋で本を選ぶ時は、どうしても自分の趣味嗜好に沿ったものばかりを見てしまう。だからこそ、隣のひとの「これが最高!」を知りたいと思う。そして、本を通じて新しいコミュニケーションが生まれたらいいなと思っている(具体的なアイデアはまだない)。他にも「私は紅茶を淹れるのが好きなので、本を読みに来た人に紅茶を淹れたりしたいです」という連絡が届き、そうそう、そういう発想が素晴らしいのだと思った。自分ひとりでは出来ないことでも、複数名の人間が集まることで出来ることがある。

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愛媛県の今治在住のKさんからは「訪れた方や、坂爪さんに、肌触りの良い瞬間を味わってもらえたら嬉しいです」という言葉と共に、今治タオルを郵送していただいた。Kさんとは、まだ会ったことがない。会ったことがない人間にこれだけの優しさを示してくれることが、ほんとうに嬉しかった。荷物の中には『雲カタログ』という最高の一冊も同封されていた。すべてを紹介することはできないけれど、他にもホールアースカタログやハーブ事典や絵本やエッセイや小説などの様々な書籍が、様々なひとから届けられている。

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そして「奇跡の味噌」である。何やら凄そうな匂いがしたので検索してみると、驚いたことに一箱2000円(750g)もする超絶高級品であることが判明した。私は、これで奇跡の味噌汁(大量の生姜とこんにゃくを入れた)をつくった。美味しかった。何だか「美味しいだけじゃない」ような気がした。日本人には味噌である。人に良いで『食』である。自然栽培に関心が湧いて来るのと同時に、世の中には自分の知らない世界がたくさんあるのだと思った。

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素晴らしいセンスの差し入れは続く。上記の画像は襟巻きで、赤い部分を良く見ると『PRADA』と書いてある。味噌と襟巻きは、この家を整えてくださったMさんからの差し入れになる。Mさん曰く「首の後ろ側に風門(ふうもん)と呼ばれる場所があって、風邪や邪気などはそこからはいってくると言われています。風門は、夏は手拭い、冬はハイネックなど、何かを巻いて守ることでエネルギーを奪われなくなります」とのこと。我が家には様々な来客が訪れることになると思うので、最高のお守りを頂戴した。

大切なものが増える。家の掃除も毎日している。まさか、これだけ怠惰な自分が家の掃除を毎日するとは思わなかった。間違いなく、この家が「善意の塊」だからだと思う。珈琲を淹れる時の藤岡弘ばりに「ありがとう」と言いながら、玄関の掃除をしたり、雑巾掛けをしている自分がいる。携帯やパソコンをいじる時間が減って、代わりに散歩をする時間や空を眺める時間が増えた。身体は楽器だ。自分の身体がチューニングされているのを感じている。そして、本当は何かを誰もが与えたいと思っているのではないだろうかという気持ちになる。


この家には、出来るだけ100均などで買ったものは置きたくないと思っている。うまく言葉にできないが、間に合わせのもので揃えてしまうと『間に合わせの身体になってしまう』ように感じている。Mさんが揃えてくれた家具や食器や日常用品は、そのどれもが細部にこだわりのある逸品で、ものを大切に扱えるひとになりたいと思った。大切に扱うためには、愛が必要になる。自分の周囲を愛で囲むこと。職場も家庭も日常も、愛せないものに囲まれてしまってはいけないのだと思う。


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昨日は、江ノ島のラムピリカ主催「珈琲学習会」を開催していただいた。店主のCさんとは、過去に一度だけお会いしたことがある。その時の印象があまりにも素晴らしかったために、今回「坂爪さん宅で出張珈琲勉強会をやりたいのですがどうでしょう!」と連絡をもらった時には、うれしかった。連絡をもらったのが木曜日で、開催されたのが土曜日になる。このスピードが心地良い。当日は、数種類の珈琲を皆で飲み比べた。家の中に珈琲の素晴らしい香りが立ち込める。様々なひとが料理やお菓子などの差し入れを持って来てくれる。この家を無料で使えるイベントスペースにするのもありだなと思った(何かありましたらブログ末尾の連絡先までご連絡ください)。Cさんは珈琲を愛している。露骨に嬉しそうに珈琲を淹れる。その姿を見て、私も一緒にうれしくなってしまう。愛のある所に邪気はない。無邪気になれる瞬間を持っているひとは、年齢も性別も問わず魅力的だ。

居場所とは、場所ではなくて人間だ。



私のもとに集まってくるものは、必ずしも素晴らしいものばかりではない。いまでも頻繁に罵倒されることはあるし、お前はMさんに利用されているだけだと言われることもある。しかし、そんなことはどうでもいいのだ。私は、Mさんに利用されていたとしても何も問題はない。もちろんそのようなことをするようなひとではないのは分かっているが、私がMさんを好きな理由は「このひとは私を裏切らない」からではなく「このひとになら裏切られても構わない」と思えるからだ。

私は「このひととなら不幸になっても構わないと思えることが幸福だ」と思っている。世の中には、避けては通れない幾つかの障壁がある。何か新しいことをやろうとする時、必ず、それを邪魔する人が現れる。その時にやるべきことは、その人を退治することではなく、理解を求めることでもなく、自分が「これだ」と思うことにエネルギーを注ぎ続けることだと思う。自分が嫌いなものではなく、自分が好きなものに使ってこその命だ。

家のない生活をはじめてから、全国47都道府県に加えて15カ国位足を運んだ。唯、何処に行っても心は馴染まず、自分には居場所はないのだと思っていた。しかし、熱海の生活は私の狭い思い込みを見事に覆してくれた。最高の居場所と出逢った。居場所とは、場所ではなくて人間だ。何かを愛する自分の心だ。愛してくれる何かを求めるのではなく、自分から進んで愛していける何かを見つけること。きっと、そこが自分の居場所になる。

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人生は続く。

静岡県熱海市伊豆山302
坂爪圭吾 KeigoSakatsume
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