『過酷で楽しい』野営ライフのはじめかた。 ー 家がなくても金がなくても、圧倒的に豊かに生きる10の知恵【道具編】
家に帰らない生活も三週間目に突入した。知人からバイクやテントを譲り受けた私は、『これがあれば家がなくても生きていけるのではないか?』と思って実験的に野営ライフを試みている。正直な感想としては『過酷で楽しい』ー この一言に尽きる。自分の好きな場所にテントを張って眠る生活は自由だ。
人生は何が起こるか分からない。家がなくても生きていける力を養うのは、生きる力を養うことに直結する。生きる力があれば死なない。家に帰らない生活を通じて獲得した10のヒントを、巷に溢れるアウトドア入門としてではなくサバイバル生活の入門として(10のツールを通じて)紹介したい。
1・テント feat.ノースイーグル
コストパフォーマンスも最強の文句無しの一品だ。私は知人から貰ったが、ネットでも5000円以下で買える。この前、オフハウスというリサイクルショップに行ったら2000円で売っていた。家が2000円で買える時代だ。これはものすごいことだと思う。コンパクトに折りたためるのでバイクの荷台にも載せることが出来る。重量はおよそ三キロ。外張り付きなので、雨風も余裕で凌ぐことが出来る。外張りを外せば蚊帳のようになり、虫の侵入を防ぎながら月見を堪能できる。モバイルハウスの代表格だ。
2・寝袋 feat.ラフマ
これも知人から貰った。それなりの値段がするけれど、別にこれでなくても普通の寝袋で良いと思う。ホームセンターでも1500円程度で購買出来るし、リサイクルショップなら1000円以下で入手できる。テントも寝袋も所有しているけれど使っていない誰かがいると思う。FacebookやTwitterで『誰かください!』と叫んで見れば、想像を超えて容易に入手できるかもしれない。欲しいものは口に出そう。
3・エアベッド feat.FIELDOOR
これも知人から無期限で借りた。上記三点(テント・寝袋・エアベッド)があれば何処でも快適な睡眠を遂げることが出来る。この発見は革命的だった。私は実質無料でモバイルハウスを手に入れた。寝袋だけで眠ると翌朝身体がバキバキになる。これには困った。強靭な身体を手に入れるためには常に硬い地面に眠り続ければ良いのだろうけれど、このエアベッドを置くとテント内の『俺の部屋感』が圧倒的に向上するので気に入ってしまった。以上、三点があればとりあえずどこでも眠ることが出来る。
4・エマージェンシーシート feat.ノーブランド
http://www.amazon.co.jp/ノーブランド品-【ノーブランド品】サバイバルシート-防寒・保温シート-5枚パック-防災アルミブランケット/dp/B007IYIYFE/ref=sr_1_10?ie=UTF8&qid=1410327851&sr=8-10&keywords=エマージェンシーシート
これは優れものだ。アルミシートは猛烈に暖かい。真冬でも汗をかく。寝袋だけでは寒い時など、これを寝袋の中に潜ませて毛布代わりにすれば問題ない。サイズもポケットティッシュ程度で極めてコンパクトで、(一度開くと元のサイズに戻すことは難しいけれど)レジャーシート代わりにもなる。雄大な自然を座って眺めたい時など、サッと広げれば人間ひとりは余裕で横になれる。屋外のスポーツ観戦時なども、一緒に行った女子が寒そうにしていたらブランケット代わりにこれを差し出してやれば良い。
5・圧縮袋 feat.ボンボヤージュ
http://www.amazon.co.jp/【Amazon-co-jp限定】-衣類圧縮袋-10枚組-Bon-Voyage/dp/B00HF2L4N8/ref=sr_1_4?ie=UTF8&qid=1410328102&sr=8-4&keywords=圧縮袋%E3%80%80
圧縮袋は最高だ。100円ショップにも売っている。衣類などを圧縮してパッキングすることでスペースを確保することが出来る。大きめのサイズの圧縮袋を用意すれば、寝袋もまるごと入れて圧縮することが出来る。こうすることであの馬鹿でかい寝袋も半分程度には圧縮出来て便利だ。注意点は、掃除機を使うタイプの圧縮袋を間違って買ってしまわないこと。何も使わずに空気を押し出すだけで圧縮されるタイプのものがあるので、それを買うようにしましょう。部屋の収納場所確保にも役に立ちます。
6・ランタン feat.スノーピーク
http://www.amazon.co.jp/スノーピーク-snow-peak-ソリッドステートランタン-ES-040WH/dp/B009SYF6XK/ref=sr_1_3?s=sports&ie=UTF8&qid=1410328288&sr=1-3&keywords=スノーピークランタン
これも知人から借りた。知人らぶ。私の故郷でもある新潟県の有名なアウトドアブランド『スノーピーク』の製品はデザイン性と機能性がずば抜けている。これがあれば読書も問題なく可能だ。虫の鳴き声が響き渡る中で坂口安吾の著作などを読んでいると、非常に満ち足りた気持ちになる。これは余談だが、『青空文庫』というアプリをインストールすれば著作権の切れた小説を無料で読み漁ることが出来る。坂口安吾も宮沢賢治もゲーテも何だって無料だ。自然の中にいると読書に極めて集中出来る。
7・テーブル feat.キャプテンスタッグ
http://www.amazon.co.jp/キャプテンスタッグ-CAPTAIN-STAG-アルミロールテーブルコンパクト-M-3713/dp/B000AR4TJQ/ref=lp_14916971_1_1?s=sports&ie=UTF8&qid=1410328523&sr=1-1
これがあれば地べたにペットボトルを置く必要がなくなる。地面は意外と全然平らではないので、比較的簡単に飲み物がぶっ倒れてしまったりする。これは折畳んでコンパクトに収納できるのも魅力的で、コストパフォーマンスにも非常に優れている。私はテントの中で珈琲をこぼしまくってきた。このテーブルに置くことで、テントの中が黒く染まる恐怖から自由になれた。アウトドア用品には人類の知恵が豊富に詰まっている。アウトドアショップに行くだけで誰もが自由を感じることが出来るはずだ。
8・ソーラーチャージャー feat.アンカー
http://www.amazon.co.jp/Anker-ソーラーチャージャー-折りたたみ式-PowerIQ搭載-14W/dp/B00HR2G4S6/ref=lp_2146222051_1_1?s=electronics&ie=UTF8&qid=1410328821&sr=1-1
太陽光を使って電子機器を充電することが出来る。ビジュアルのインパクトもあるので、おもむろにこれを広げれば周囲の注目を集めることが可能だ。何よりも太陽の偉大さを痛感することが出来る。太陽光で実際にiPhoneが充電されていく様を眺めていると、自然の偉大さを改めて思うことが出来る。携帯バッテリーを充電させることも出来るので、近くにコンセントがなかろうともどうにでもなる。これからは『自然×テクノロジー』の時代だ。テクノロジーの恩恵を最大限に浴びながら自然を楽しもう。
《余談》使い捨てのビニール傘の内側にアルミホイルを貼り付けて、パラボラアンテナのような形で中央部分に日光を集めると、集まった太陽熱でお湯を沸かすことも出来る。芋を煮ることもプリンを作ることまで出来る。自然の力は偉大なのだ。興味のある方は『ソーラークッカー 作り方』で検索をして見て欲しい。そして実際に試して見て欲しい。実際にやることでより一層の感動を味わうことが出来る。
9・エターナルマッチ feat.ノーブランド
http://www.amazon.co.jp/IZ-Star-キャンプ・アウトドア-野外料理-緊急防災用品-マグネシウムファイヤースターター-火打石(レッド)/dp/B00I6YD310/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1410329160&sr=8-1&keywords=ファイアースターター
要するに火打石だ。これでいつでも(ライターやマッチがなくても)焚き火が出来る。落ち葉やティッシュに引火させれば火種になるので、あとは周囲に落ちている松や杉の枝を拾えば焚き火が出来る。150円程度からネットで入手できる。焚き火を囲みながら過ごす時間は極めて至福だ。火を眺めていると心が落ち着く。これからの季節、屋外で焚き火を起こして焼き芋をするのも乙なものだと私は思う。
10・ガスバーナー feat.イワタニ
http://www.amazon.co.jp/イワタニ-Iwatani-カセットガス-ジュニアバーナー-CB-JRB-2/dp/B001CA05ZW/ref=sr_1_62?ie=UTF8&qid=1410329417&sr=8-62&keywords=ガスバーナー
私はこれを以前3000円程度で購買していた。私は屋外で飲む珈琲を愛している。自分でお湯を沸かして自分の好きな場所(海や山や森)で飲む珈琲は格別で、これさえあればどこでも珈琲を淹れることが出来る。別に家庭用のガスコンロでも問題ない。いつもは屋内でしている鍋会などを、ガスコンロを持ち出して屋外でやるだけでも圧倒的な充足感を得ることが出来る。是非試して見て欲しい。海でやる鍋会は格別で、いつも以上に自由で豊かで『他には何もいらない』という気持ちを味わうことが出来る。
以上、取り急ぎ10点のツールを通じてモバイルハウスの作り方を紹介してみた。基本的にはすべて、誰かから借りるか譲り受けたものばかりで、新しく購買したものはひとつもない。実際にやってみて「これもほしい」「あれもほしい」と思うことがあれば、ひとつずつ買い足して自分の理想の帝国を築き上げれば良いと思う。私は決してアウトドアの達人でもなければサバイバルマスターと言うわけでもない。ただただ『これがあれば家がなくても生きていけるのではないか?』と思ってしまい、実際に試して見たら『過酷で楽しい』アウトドア(サバイバル)ライフに魅了されているだけに過ぎない。
家がなくても生きていけるということは、ダイレクトに『生きる力』に直結する。そして何よりも楽しい。日没と共に眠りの準備を整えて、夜は夜の暗闇に包まれて静かな時を過ごし、日の出と共に目覚める生活を送る。美しい朝焼けを眺めている時などは『これがあれば他には何もいらない』という果てしなく満ち足りた気持ちになる。そして、今までの日常生活で朝焼けを眺める機会がいかに少なかったのかを知ることが出来る。自分のすぐ側にはこれだけ素晴らしい景色が広がっていたというのに、まるでそられに気づかず生活を送っていた自分の世界の狭さを恥ずかしく思う。
生きるために必要なものはそれほど多くない。野営ライフをはじめると、自分にとって本当に必要なものとそうではないものの見極めが出来るようになる。荷物は少ない方がいい。身軽がいい。常に手元に置いておきたいものはそれほど多くはなく、必要なものは必要な時だけ誰かに借りたりすればそれで済む。自然の中で時間を過ごしていると、周囲からノイズが消えるために自分と徹底的に向き合うことが出来る。『自分はどういう人生を送りたいのか』という本質的な問いと向き合うことが出来る。
繰り返す。家のない生活は過酷で楽しい。決して快適な環境ではないけれど、快適な環境では決して味わうことの出来なかった多くの瞬間を味わうことが出来る。私は一言「こういう生き方もありだよ」と多くの人たちに薦めていたい。無理矢理強制したいとも思わないけれど、こうした豊かさを知らずに死ぬのは勿体無いだろうなあとも思っている。テントで眠ると人生が変わるよとか、夕焼けを眺めながら飲む珈琲はうまいよとか、裸足で砂浜を歩くと気持ちいいよとか、夜の海は想像を超えて優しいよとか、虫の鳴き声を聞きながら読む本は染みるよとか、星が綺麗だとか、稀に泣くほど朝焼けが美しい時があるんだよとか、地球は美しい、人生は素晴らしい、そういうことを伝えたくなってしまう。
私にとって普遍的な多幸感を味わう方法は三つあり、
①自然に触れる。
②身体を動かす。
③ものをつくる。
人間的な生活にはすべてが揃っている。人生は続く。
坂爪圭吾 KeigoSakatsume/ibaya
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