いばや通信

ibaya《いばや》共同代表・坂爪圭吾のブログです。

【1日目】家を捨てよ、町へ出よう。 - 家の無い生活を送ってわかった5つのこと -

東京でのホームレス生活を続けながら、多くの愛と勇気と絶望を味わいました。誰にでも経験があると思うけど、「誰もが当たり前にできていることなのに、自分にはそれができない」と感じる時の苦痛はかなりのものがあります。

例えば、私は「みんなが当たり前に学校に通うことができるのに、自分にはそれができない」と思って学校生活をドロップアウトしたし、「みんなが当たり前に仕事をしているのに、自分はバイトをしたり会社で働くとノイローゼになってまじで使い物にならなくなる」という致命的な欠陥を抱えています。

そんな欠陥を抱えている人間でも、どれだけハッピーに生きる事が出来るのかを実験してみました。
SNS等で会いたい人に連絡を取りまくり、ご飯をご馳走してくれる人や宿を提供してくれる人を募集しまくって、他力本願でどこまで行けるのかを我が身を賭して検証しました。結論から言うと、金も家もあったときよりも、金も家もない方が800倍豊かに暮らせることが分かりました。

【1日目~2014年3月11日(火)~】

朝7時新潟駅発の新幹線に乗る。大学生が春休みだからなのか、高速バスも普段より値段が高く、そもそもで予約が取れなかったので新幹線を利用した。1万円と2時間があれば東京に着く。私の愛読書である「仕事は楽しいかね?」を読みながら東京に向かう。

10:00 シェアハウス用の物件を見る@門前仲町

テレビ局のディレクターをしながら、同時に自身でもシェアハウスを運営しているUさんが「シェアハウス用の物件を探しているんだ」ということで、下見に付き合う。「坂爪くんも、家がなくて大変でしょ?」という優しさから、私を誘ってくださった。非常にありがたい話であり、人の繋がりは金を越えるのだと思いました。

Uさん「坂爪くん、もしもシェアハウスに住むとしたらいくらなら住む?」
私「1万円なら住みます」
Uさん「1万円かあ…1万円は難しいなあ…2万円ならどうにかなるかも」
私「1万円がいいです。それ以上は出せないんです!」
Uさん「1万円かあ…1万円は難しいなあ…」

こんなやり取りを繰り返しました。

≪余談≫私は常々東京の家賃は高すぎてイカれていると思っていました。仮にもしも家賃が1万円で済めば、余ったお金でみんなも自由に好き勝手なことをやると思うから、結果として日本の経済も活性化すると思っています。東京の家賃は異常!!

ここでの『いばや(やばい出来事)』は、私に会うためにはるばる兵庫から東京まで来てくれた女性の方がいらっしゃったこと。一緒に下見をしながらたくさん話しました。「坂爪さんのブログを読んで、この人は意味が分からないけどすごいと思ったので、実際にこの目で確かめに来ました」とのこと。帰り際に、お土産と一緒に素敵なハガキと1000円をいただいてしまいました。いばや!!

≪余談≫シェアハウス物件には屋上がつきものだと言う。この物件にも屋上があり、屋上にのぼった途端に私のテンションもあがった。ここに1万円で住みたいと思った。屋上に上ると分かるのだが、日本の建築はまじで屋上をまるで生かしきれていない。屋上ガーデンや屋上簡易キャンプ場や屋上簡易イベント場なんて簡単に作れると思うのだが、ここに何かチャンスがある気がした。屋上がやばい。


14:00 世田谷ものづくり学校で企画室長の方と話す@池尻大橋

池尻大橋駅から徒歩10分程度、旧池尻中学校跡地に出来た「世田谷ものづくり学校」という施設の企画室長(要するに偉い人)をご紹介していただく。超良い意味でぶっ飛んだ方であり、話した内容は自殺よりSEX。 - 他者と繋がる3つの方法 - でも軽く紹介した。

感じた違和感もある。「地域に根ざした」とか「社会に対してオープンな」みたいな標語を掲げる企業は多い。しかし、大半の場合は口先だけで行動が伴っていない。「多くの地域住民の方々に利用してもらいたい」とか言いながら、高すぎる値段設定をしている企業が多い。

個人的には、週に一度でも月に一度でもいいから、無料で解放する日を設けて自由に好き勝手に地域の人たちに使ってもらえば面白くなると思っている。解放することのメリットは、「そこを使って想像を超えた面白い使い方をする人があらわれること」だと思う。しかし、高すぎる利用料金がハードルとなり、折角のイノベーションが生まれる機会を剥奪しているように感じた。

15:30 ホームレス社長と会う@渋谷

ロンドンで会社を経営しながら、その家庭で家を失ってホームレスをしながら仕事をしていたという猛者をご紹介していただく。そのライフスタイルを面白がってくれた各種メディアからも多くの取材を受けたらしく、世の中はまじでなんでもありなんだなと思った。「ホームレスになってから、本当にみんなが優しくしてくれてびびった。ホームレスになって太ったんだ」と笑って話していた。私(28歳)とは大して年も変わらないのだが、とても魅力的な社長だった。

16:15 ホームレス小谷さんと会う@六本木

東京IT新聞でも紹介されていたホームレス小谷さんをご紹介していただく。経歴は記事をご覧いただければわかるのだが、まじで半端ない人生を送っている。実際にお会いして非常に驚いたのだが、限りなく素直で聡明な方だった。そして優しかった。「今までは漫画とか映画の中だけの世界での話だったものが、今ではどんどん現実になってきている」という指摘には興奮した。素晴らしいアイデアのヒントが、漫画や映画の中にも転がっているような気がした。

他にも多くの名言が飛び出した。「貧困層は落ち込んだりしない」「人生の先が見えないというのは本当に怖い。レールに乗っているのに先が見えないなんて恐怖でしかない。しかし、一度レールを降りてしまえば先が見えないのは当たり前になる。先が見えないことが楽しみにもなり、今日はどんな目に会えるのだろうかとワクワクする。先は見えないのは同じなのに、それに大して感じる感情が全然変わってくる」

17:30 リバ邸にお邪魔する@六本木

都知事選に立候補をした家入さんでも有名な、六本木のリバ邸にお邪魔する。在住者の平均年齢は20歳程度と非常に若く、大学生をやりながら会社を経営している人たちがザラにいる。六本木に若者が集団で生活をしながら会社を経営しているのは異様だと思った。

正直に話すと、リバ邸の住人たちにあまり興味を抱くことはなかった。ただ一人、石原くんという20歳の青年に私の目は釘付けになった。この人には華があると思った。私は彼を口説き、「あなたはこれからやばいことになると思う。めちゃめちゃ大物になるだろう。今日は出会えてよかった」という謎の告白をした。彼に出会えただけでここに来て良かったと思った。

20:00 日本で二番目に古い佐竹商店街に行く@新御徒町

ツイッターで私をフォローしてくださっている方が、「新御徒町の佐竹商店街もいいですよ☆」という情報をくれたので実際に行った。しかし、時すでに遅くほとんどのお店は閉まっていた。私は渋々近くの「給食当番」というお店に入り、ツイッターで連絡をくれた方ともそこで初対面を交わした。シェアタウン構想「シェアハウスからシェアタウンへ」について諸々話し、初対面であるにも関わらず非常に充実した時間になった。「私は新潟からシェアタウンを実現する。あなたも新御徒町から何かをやって、近々何かでコラボをしよう」と話してその場は終わった。

23:30 友人の家にお邪魔をする@不動前

22時を過ぎても宿が決まっていない私を不憫に思ってくれた友達が、私を家に泊めてくれた。私は最大限の愛情表現をすると共に、シャワーを借りて幸せを噛み締めた。ホームをレスする生活を送っていると、今までは当たり前にあったものがとても貴重なものだと感じるようになる。屋根がある場所で落ち着けること。横になって眠れること。暖房があること。風呂やシャワーがあるということ。洗濯が出来るということ。話し相手がいるということ。このどれもが、家のない生活を送っている人間にとってはかけがえのない奇跡になる。

【1日目】の感想をまとめると以下の5つになる。

①東京まではるばる兵庫県から会いに来てる人がいてやばい。
②屋上はやばい。屋上なら1万円で住めるかもしれない。
③「地域に根ざす」とか言うなら無料で解放せよ。金を取るな。
④漫画や映画の世界が、現実でもどんどん起こってきている。
⑤家のない生活を送ると、当然の事に果てしなく感謝できる。

私はよろこびと共に眠りについた。続きは【2日目】をご覧ください

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「失恋したのね。悔しいでしょ。 ならこう思いなさいよ。 あなたはひとりの人間から必要とされなくなったの。 それなら100万人の人から必要とされる人間になりなさいよ。 その時は必ず本当の恋が見つかるわ。 がんばりなさいよ、やるしかないでしょ」

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坂爪圭吾 KeigoSakatsume/ibaya
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