いばや通信

ibaya.ex《いばや》共同代表・坂爪圭吾のブログです。

生きる。自分も他人も凌駕するほど。

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菊名駅前のコロラドにいる。今日で、音楽をはじめてちょうど半年が経過した。開始時に「一年後にどこまで行けるか見てください」と大風呂敷を広げた。自分に重圧をかけた方が、本気で取り組むと思ったからだ。半年間で118曲作り、23回ライブをした。比較的、怒涛(苦悶)の日々だった。一曲一曲に自分の血と汗と涙を感じるため、日々が濃厚になった。いい曲ができたときは、何者かに感謝をしたくなった。神様はいる。そう思うこともあった。残りの半年は、外に出る、世に出る、ということを意識したい。残り半年で、私たちはどこまで行けるのだろうか。 

 

 

おおまかなスケジュール

8月24日&25日 15時 定期演奏会@神奈川県横浜市「ごちゃまぜの家」
8月31日 13時 Shanti Day@東京都新宿区四谷「シアターウイング」
9月9日 20時頃 命を賭けているライブ@東京都武蔵野市吉祥寺「曼荼羅」

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http://urx2.nu/xkMu

 

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半年間を終えて。

普通、なにかをやるときは「上手になってから」人前に出る。だが、我々は「へたくそなら、へたくそなままの自分を見てもらう。そして、そんな我々がどのように進化をするのか、リアルタイムのドキュメンタリーみたいな感じで楽しんでもらおう」と思い、未熟な段階からライブを重ねた(動画の公開も続けた)。上手な人間だけが音楽をやれるわけじゃない。へたくそだって、なにかをやりたいと思う気持ちがあるなら、やっていいはずだ。否、やるべきである。そう思い、率先してダサい姿をさらした。罵詈雑言のシャワーも結構浴びたが、1000人に1人くらいは「感じるものがありました」と感想をくれた。精神病棟で長期入院中の女性から、我々の音楽を聞いて「三年ぶりに笑いました」と連絡をもらったときはうれしかった。

 

 

音楽を楽しめない時期もあった。その理由は「うまくならなければならない」と思っていたからだ。技術がなければ恥ずかしい、技術がなければ人前で演奏をする資格がない、という風に思っていたからだ。しかし、違う。我々の土俵は、技術ではなく『純度』だ。技術があるから感動するわけではなく、技術がないから感動しないわけでもない。私は、私の純度を、言葉や音楽に注ぎこみたい。無論、濁ることもある。大概は濁っている。それでも稀に「ああ、これは本当にその通りだ」と思える言葉や音に出会う。そういうときに、音楽の神様を感じる。この曲(言葉)は、自分が作ったものではない。自分を『通じて』生まれたものだ。自分はただのパイプであり、自分を通じてなにかが生まれたとき、いい作品ができたと感じる。

 

 

音楽は継承である。吉祥寺で音楽スタジオを経営している男性が、言った。坂爪さんは色々な曲を作っていると思うけど、そのどれもが『継承』なのだと思う。歌詞も、メロディーも、まったくのゼロから生まれたものではない。過去に、似た音楽や、似た言葉を、残している人々はきっとたくさんいる。それを、坂爪さんが『継承』しているのだと思う。これは、パクっているとかそういう悪い意味ではなく、大事だと思うものを、大事だと思い続けるために、音楽を通じて『継承』をする。僕は、音楽ってそういうものだと思っています。と。この言葉は、その通りだと思った。私は、私が過去に見た光を、未来に継承するために現在を生きているのだと感じる。その光とはなにか。それを忘れたくないと思い、バンド名に『Agape』と付けた。アガペーという言葉には、無限の愛という意味がある。そこには「罪人である人間に対し、神が注ぐ自己を犠牲にした愛」という意味合いが含まれている。

 

note.mu

 

わたり文庫『銃口(上・下)』

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今回のわたり文庫無料郵送の一冊は、三浦綾子著作『銃口(上・下)』です。私は、キリスト教とロックンロールに大きな影響を受けて育ちました。これらの共通点は「弱者に対して、優しいこと」だと思います。基本的に、私は「自分なんか生きていても仕方ない」みたいなことを思いながら、多感な時期を過ごしていました。そんな中、自分が好きだと思うものたちは、そんな自分に「生きててもいいよ」と言ってくれているものたちでした。三浦綾子さんの著作からは、過去、幾度となく力を貰いました。ご希望される方は何かしらの方法で坂爪圭吾までご連絡ください。御当選(?)された方には70万時間以内に折り返しご連絡いたします。

 

※※※ こちらの本は北海道にわたりました ※※※

 

今、竜太は庭を眺めながら、故郷というものの不思議さを思った。人間に故郷のあることは、何と幸せなことだろうと思った。ふるさとを思う時、人間は不思議に心素直になるのだ。自分という命がそこに生まれて、そこに育つ。それは人間にとって、決して小さなことではない。それにしても、いったいその命はどこから来て、どこに行くのだろうか。この命は果たして自分自身だけのものなのだろうか。ぞんざいに扱ってよいものなのだろうか。自分の命には負わされた使命というものがあるのではないか。竜太はふっと、死んだ坂部先生を思い出した。先生は、あの旭川の警察署で、最後の別れとなった時にも言われたのだ。

「竜太、自分にとって最も大事なこの自分を、自分が投げ出したら、いったい誰が拾ってくれるんだ」

その声が、今また鮮やかに竜太の胸に蘇った。竜太は大きな力を坂部先生から与えられたような気がした。留置所に入れられていた時も、出所後も、軍隊に入ってからも、竜太はしばしばむなしさに襲われた。幾度か自分を投げ出したい思いに駆られた。が、その度に先生のその声が、竜太を我に返らせたのだった。先生の声こそ、竜太にとってふるさとの声でもあった。

三浦綾子銃口(上・下)』【小学館文庫】

 

生きる。自分も他人も凌駕するほど。

私の最終学歴は東京都立大学(退学)だが、在学中、大学の寮で暮らしていた。家賃は6畳1間(トイレと風呂は共同)1万円程度と安く、貧しい家庭に育った人間だけが暮らせるという条件があった。私はその条件を軽やかにクリアし、そこで「たもつ」という男性と出会った。我々は法学部で、我々は貧しかった。コンビニでバイトをしていた私は廃棄食品をたもつの部屋に運び、たもつは、居酒屋で働いて得たなにかしらを私の部屋に運んだ。我々は、それを「お宝山分け大作戦」と名付けていたが、要するに、貧しさを支え合うことで乗り切っていた。別に悲壮感とかはなくて、楽しかった。楽しかったが、時折、たもつと語り合うことがあった。

 

ある日、たもつに聞いた。普通の大学生は、今頃、飲み会などでどんちゃん騒ぎだ。親からの仕送りもあるから、働く必要のない人間も大勢いる。そんななか、俺たちは教科書代を稼ぎ出すために働かなくちゃならないし、たもつに限っては(弁護士になりたいと思っていたたもつは予備校に通う必要があったから)予備校代も捻出しなければいけない。俺たちが働いている間も、他の人は遊んだり、弁護士になるための勉強をしている。たもつは、そんな俺たちのこの状況を、ハンデみたいに感じることはないのか。と。すると、たもつはいい感じの笑顔を浮かべながら、こう答えた。俺は、これをハンデとは思わない。居酒屋で働いている経験も、いつか、必ず活きる日が来ると思う。いい弁護士になるには、弁護士になる勉強だけをしていては、いけないような気もするし。と。この言葉に、私は「なんと素晴らしい友をもったことか!」と、感動した。そして、見事、たもつは(怒涛の日々を重ねた果てに)現役で司法試験に合格をした。私は、結果的に大学を退学することになったので、それ以降、それほど我々は会うことはなくなった。ただ、いまでも、たもつを思い出すと「俺も、頑張らなきゃいけねえな」みたいな気持ちになる。

 

人間の生き方は連鎖をする。怠惰な姿勢は、怠惰な心を連鎖させる。前向きに生きる姿勢は、前向きな心を連鎖させる。自分がここまで生きてこれたのは、周囲に「前向きに生きようとする人間」がいたからだ。環境に恵まれていたからではなく、過酷な状況のなかで、それでもなお「俺はやるぞ」と前を向くことを諦めなかった人間たちに、私は、励まされてきたように思う。貧しさは、人間をダメにすることもある。しかし、貧しさが人間を鍛えることもある。あらゆる環境は、その環境を「人間自身が、どのように生かしていくか」によって、良い環境にもなれば、悪い環境にもなるのだろう。恵まれた環境とか、恵まれた社会とか、恵まれた能力とか、きっと、全部幻想だ。大事なことは、自分が「それをどう生かすか」なのだろう。それは、いま、ここにある自分を「これが自分という人間なのだから、さて、どういう風に生かしていくか」と、できる限り本気で考えて、失敗を恐れず、無理解を恐れず、できる限り本気で実践することなのだろう。真面目に生きようとすることは、かっこ悪いことなのかもしれない。もっとさらっと、もっと余裕で、もっとなんでもないことのように、なにかをやれることのほうがかっこ良いことなのかもしれない。ただ、私は、無様でも、不器用でも、真面目に生きようとする人間のかっこ悪さや愚直さに、生きることのひたむきさ、生きることの尊さを見る。

 

 

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人生は続く。

 

坂爪圭吾 KeigoSakatsume
keigosakatsume@gmail.com
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