関空に着く。ホノルルに飛ぶ。多動ツーリズムのご依頼(?)をいただき、いま、モロカイ島からカウアイ島に向かう飛行機を待っている。私は暇なので、最近、多動ツーリズムという旅行方法を提唱している。その内容は「短期間内に各国や各島々を巡りまくる」というもので、海外旅行をしたいけど一人ではちょっとという方に同伴させていただく形で、半ば強制的に「世界を喰らう」日々を過ごしている。
私は、自分を軽度の多動症だと思っている。が、元来、おしなべて人類は多動症だったんじゃないのかななどと(小さなこども達を見ていると特に)思う。誰もが、実は、この瞬間も『なにかをしたくてうずうずしている』のではないだろうか。という、ホモ・サピエンスの根源的な衝動にお応えすることが多動ツーリズムの真髄になるのですが、なんと、こんな企画に御依頼が舞い込んだことがとっても嬉しい。ハワイ諸島は世界有数の素晴らしい景観を誇る。その模様を、この記事から少しでもお伝えできたらと思う。
やりたいことは全部やろう。
とにかくハワイの島々を味わい尽くしたい!と言う御依頼主の要望に応えるべく、予算内でできることを共に考えた。ら、とにかく各島々の海を泳ぐことが最優先事項であることがわかったので、今回のテーマは「やりたいことは全部やろう!」になった。ハワイまで来てケチっている場合ではない。できる、できないではなく「やるか、やらないか」ということで、削るところは削る代わりに欲しいものは全部獲りに行くスタンスで多動ツーリズムははじまった。
ホノルルに着き、座席数10席のモクレレ航空に乗ってモロカイ島に飛ぶ。途中、アリさんと言う名前のハワイアン男性と知り合う。我々が日本から来ていること、多動ツーリズム(と言う名前の貧乏旅行)をやっていることを告げると、アリさんは「最高の人生だね!」と満面の笑みを浮かべて親指を立てる。ハワイの人はとにかくいい感じのひとが多い。最高の人生だね、と言われると「そう言われると、なんだか最高の人生みたいな気がしてきた!」となれるから不思議だ。モクレレ航空のパイロットも極めて陽気で、我々が日本人だと告げると、アラジンみたいな色気たっぷりのウインクと共に「ばいばいきん」などと言うものだから、日本人でもそんな挨拶はなかなか使わねえぞって思ったけれどもいい風が吹いた。
モロカイ空港から徒歩で街に向かう。モロカイ島は信号機ひとつない島だ。空港にタクシーやバスは皆無のため、自力でチャーターしなければ到着した途端に路頭に迷うことになる。が、我々は積極的に路頭に迷う道を選んだ。タクシーは片道30ドルかかる。が、徒歩なら無料だ。中心部まで徒歩3時間。無理じゃない距離だ。我々は意を決して歩き始めた。モロカイ島は火山島だからなのか、荒涼としたらサバンナ感溢れる大地が延々と続いた。が、この後、モロカイ島最初の奇跡が起きた。
カラダを張らにゃあドラマは生まれん。
何もない道を15分くらい歩き続けた。ら、目の前に車が停まって「あなたたちなにしてるの。歩いてるの。まあ、クレイジーダネ。なに。歩ける。歩けるわけないじゃない。黙って車に乗りなさい!」と、曙と吉高由里子を足して2で割らない感じの美しい女性が声をかけてくれた。ので、甘えた。道中、カウナカカイ市街地を案内していただく。海。街。空。店。風。半端なくいい感じの女性だった。我々はキャッシュを1ドルも持ってなかったので、銀行前で降ろしてもらった。ハグをして別れる。素晴らしい出会いだった。御依頼主Y様と共に「徒歩だからこその!徒歩だからこその!」と幸運を祝した。
ホテルモロカイに着く。我々には高級過ぎるホテルだ。この日は宿だけ贅沢をすることに決めた。私は粛々とビリーズブートキャンプをやる。御依頼主はバーでビールを飲んでホロ酔いになる。夕日が沈む。素晴らしい夕日。落ちて来そうな星空に見惚れる。翌日は海で野営もありだね(野営を織り交ぜることで宿泊費を浮かせる)などと話していたが、海が泥みたいだったのでこの案は捨てた。翌朝、チェックアウトを済ませて徒歩でカウナカカイ市街地にあるモロカイバーガーを目指す。この日の目的地はカウアイ島。モロカイ島は「なんとなくわかったね!」ということで、一泊のみで終わらせることになった。
バーガーを食べ終え、さて、空港までどうやって行こうかとなる。タクシーは高い。Y様はヒッチハイク未体験と聞く。これはチャンスということでヒッチハイクバージン卒業を促した。ら、ありがたいことに「では、やってみます!」ということになって親指を立てるのに適当な場所を探す。ガソスタがあったのでここでやったらどうにかなるだろう、最悪、道端で横になってうずくまっていたら誰かが拾い上げてくれるだろうなどと話していたとき、我々が声をかけるよりも先に、ガソスタから出て来たばかりのおばあちゃんが「乗る?」って声をかけてきた。ので、ヒッチハイクを卒業するまでもなく、驚きの速度で空港までの交通手段を獲得した。
自伝風物語も13作品目までいきました。
人々は本質的には分離していないからこそ『坂爪さんは坂爪さんを、私は私を生きることが大事なんだなって、そう感じるようになりました』ということ
— nitd@札幌移住フリーランス (@IncNitd) 2018年7月2日
本当は違わないから、だからこそ違う生き方をすることに意義があるということですね 人生というのはみんなで絵を描いてるようなもんですね https://t.co/3ufVw0wZaA
誰もが、誰かの力になりたいのだ。
おばあちゃんが「時間があるなら我が家に寄っていきなさい!」と激烈レコメンドをしてくださった。ので、甘えた。モロカイ島北部のホオレフアという地域で、三世代同居をしている彼女たちは自作の家に暮らしていた。10歳にも満たない男の子(孫)が我々を厚く歓迎してくれた。お菓子とサラダとジュースとホットドッグをご馳走になり、ああ、モロカイバーガーは不要だったなあとちょっとだけ後悔をする。食事前に、10歳にも満たない男の子が祈りの言葉を捧げる。この時の祈りの言葉がなかなかに衝撃的で心はみるみる浄化され、我々は、モロカイ島まで来て本当に良かったと思った。
神様、この日の食べ物を与えてくださったことに感謝します。そして、今日、遠く日本からのゲストを与えてくださったことに感謝します。彼らは私達の兄弟です。私達の兄弟に、なにかをさせていただける機会を与えてくださり、私達も力にならせていただける機会を与えてくださり、本当にありがとうございます。誰かに何かをできることは、私達の喜びです。その喜びを与えていただいたことに感謝します。彼らの幸運を祈ります。彼らの旅の無事を祈ります。彼らに、神のご加護がありますように。アーメン。
日本語にすると押し付けがましく響くかもしれないけれども、男の子の口調からは、ただただ清潔で神聖な響きだけが伝わって来た。その、瞳の美しさに震えてしまった。短時間だったけれど、色々な会話を交わした。食事をご馳走になり、猫と犬と戯れ、搭乗の時間が近づいてきたので空港に送っていただく。素晴らしい時間だった。素晴らしい祈りだと思った。誰もが「誰かの力になりたい」と思っている、そんな部分があるのだと思う。誰にでもそんな部分がある、そう思うだけで世界を信じる力を得る。旅先で人々の優しさに触れるたび、今度は自分が与える側に回ろうと思うペイフォワード的な気持ちになる。人間は優しいし、世界は優しさ(誰かに優しくしたい気持ち)に包まれているのだ。満ち足りた気待ちで空港に着き、出発時間を待つ間にこの記事を屋外で日光浴をしながら書き始めていた。ら、驚いたことに、いま、出発時刻が予定より早まっていたことをY様経由で知り、我々はいつの間にか飛行機に乗り遅れていたという衝撃の現実を突きつけられて戸惑っている。まじか。参った。これは困ったことになってしまった。旅にアクシデントはつきものだよね♫ルンルン♫などと言っている場合ではない。このままでは予算がないから帰国ができない。さて、我々はどうなるのでしょうか。長くなったので続きはまた今度!!我々の健闘を祈ります(取り急ぎ思い浮かぶ順番からネゴってきます)!!
あらゆる人間関係は「いかに諦めてもらうか」が肝心だと思っていて、良い子を演じるより「ダメな部分を早目に晒して、そこを愛してくれる人と相互補完的に付き合う」方がストレスレスだと思う。人生はチームプレーだ。自分のダメさを出す瞬間は恐いけど、許された瞬間の爽快感はたまらないものがある。
— 坂爪圭吾 / BillyGyallow🏳️🌈 (@KeigoSakatsume) 2018年2月21日
人生は続く。
坂爪圭吾 KeigoSakatsume
keigosakatsume@gmail.com
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