いばや通信

ibaya《いばや》共同代表・坂爪圭吾のブログです。

手に入れるより「手を離す」こと。

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土に還るまでが人生です。引き続き風邪をこじらせておりまして、元来多動症的な私は「これもひとつの修行なのだろう」 ということで、じっとしている練習をしているのですが見事にダメです。ギターを弾いたり部屋の掃除をしたりこうしてブログ記事を書いたりしながら(たまに寝る)時間を過ごしています。いまは熱海の自宅にいるのですが、先日、東京の桜新町駅前界隈で偶然目にしたサクラが綺麗でした。美しい風景を前にすると「うわあ」となって瑣末なこととか自分の風邪のことなど吹き飛んでしまう、あの、一瞬の風になれている感覚が好きです。

 

少し前の記事で「旦那さんは五人くらいいた方がいい」みたいなことを書きました。すると、ひとりの男性から「なんでも誰かにやってもらうことばかりを期待する女は嫌いだ」というご意見が届きました。私は、別にそういう意味ではないとは思うのだけどなあ、とは思ったもののその瞬間は何かを伝えるエネルギーが枯渇をしていたので、特に何も言いませんでした。ひとつ思うことは「何のための所有なのか」という問いで、本来は幸せになりたくて何かを手に入れたり何かを求めたりするはずなのに、やがて『手に入れたそのものによって、逆に自身の自由が制約されてしまう』ことは往々にしてあるということです。

 

【過去記事】今世は諦めてください。 - いばや通信

 

誰のものでもないからこそ、みんなのものになることができる。

熱海の家の近所にはたくさんの鳥や猫や猿が生息をしていて、この時期は、梅の花やボケの花に鶯色をしたメジロが遊びに来ます。明け方になると大量の小鳥たちが囁きはじめ、私は、毎朝その音で目覚める日々を気にいっています。私は、家の近所を行き交う動物たちを『ある種のペットみたいなものだ』と感じています。通常であれば、ペットと言えば自宅のカゴなどに入れて諸々の面倒を見るものだと思うのですが、熱海の生活は「野生の動物が暮らしている自然の真っ只中に、自分をカゴ(家)に入れて暮らしている」状態になります。当たり前のことですが、野生の動物には餌をやる必要もなければ散歩に連れていく必要もありません。いわゆる「飼い主の責任」みたいなものからは完全に自由になる(長期間の旅行などにも気軽にいくことができる)のですが、私は、この『ゆるい繋がり』をとても気にいっています。

 

家の目の前には海が広がっています。朝の早い時間帯、昇り立ての太陽に照らされている海面は、まるで黄金色の宝石が散りばめられているかのような輝きを見せてくれることがあります。私は海を愛しているのですが、あの海は俺のものだと叫んでも笑われてしまうだけだと思います。同じように、あの空は俺のものだと叫んでみても、あの山は俺のものだと叫んでみても、あの雲は俺のものだと叫んでみても、笑われてしまうだけだと思います。自分のものになんてなる訳がないし、自分のものになんてする必要もない。ただ、自分がそれを見ている時間だけは、それは「自分のものになるのかもしれない」と思います。

 

私は、この感覚をひとという自然物に対しても抱きます。人間をひとつの枠に固定する思考、たとえば恋愛制度とか結婚制度とか、そういうものが私は非常に苦手なタイプの人間になります。恋愛においても、結婚においても、私は「誰かを自分のものにしたい」とは思うことができません。基本的には何をするのもそのひとの自由、一緒にいるのも一緒にいないのも完全に自由、一緒にいなければいけないから一緒にいるのではなく、ただ、お互いが「一緒にいたい」と思う気持ちが重なっているその時は、一緒にいられることを共に喜んでいたい。そのように思うタイプの人間です。だからなのでしょうか、うまく説明をできている自信がまったくないのですが、自分の好きなひとに対しても「生きとし生けるものはあらゆるものから自由だ。ただ、一緒にいる時間だけは『恋人』なのかもしれない」という風に思います。

 

自分のものを手放すと、あらゆるものが自分のものになる。

家のない生活を2年間ほど続けた中で、様々な教訓を得ることができました。私の場合、何よりもしんどかったのは「横になれる場所がない」ということでした。カフェなどでは座ることもできるけれど、横になることはできない。漫画喫茶やカラオケにはいれば横になることもできるけれど、その分お金もかかってしまう。だからこそ、家があることの最大のありがたみは「いつでも横になることができる」ということなのだと感じるようになりました(2年間の日々の中で、公園でも路上でもどこでも横になれる程度の図太さを獲得することはできたのですが、家があるに越したことはないと思います)。

 

また、家をなくしたメリットという表現もおかしな言葉になりますが、そのうちのひとつに「当たり前が輝く」というものがあります。野宿をしている瞬間はしんどいこともあるけれど、その分、次の日に布団で眠れた時の感動は倍増をします。公園の噴水で頭を洗っている瞬間はいろいろなことを考えてしまうけれど、その分、次の日に温かいお風呂にはいれた瞬間の感動は倍増をします。いままで当たり前に使っていたもので、こんなにも感動をすることができるのかという体験は新鮮で、ああ、自分は奇跡の中を生きていたのだなあなどという気持ちにもなります。有り体の言葉で言えば「幸せのハードルが下がる」とでも言えばいいのでしょうか、容易に感動をすることができる人間になれたことは最高の報酬でした。

 

おかしなことを言います。家がなくなることの最大のメリットは「家が増える」ということで、全国津々浦々の様々な方々が私を泊めてくださる体験を通じて「いつでも自由に使える風呂や布団が世界中に増える」という謎の体験をしました。この体験は、大袈裟な言葉になりますが『この世界に立ち向かう勇気』を与えてくれました。自分が手放したものの分だけ、同じものが、ひとつの固定された場所を飛び越えて様々な場所に発生をしていく。自分のものを手放した分だけ、不思議と自由になる感覚を覚える。鳥を飼っていた時期は「自分の鳥」だけが自分のペットだったのが、何もペットを飼っていないいま、世界中の鳥たちが自分のペットになり得る。自分のものを手放した途端、あらゆるものが自分のものになる。まるでうまい説明ができていないことが悔しいのですが、風邪を引いていることを言い訳にします。意識が朦朧としてきました。あとはみなさまのお好きなように察していただけましたら幸いです。

 

【参考記事】坂爪圭吾さんが語る「家をなくしてわかった5つのこと」が面白すぎて価値観ぶっ壊れた : まだ東京で消耗してるの?

 

3月のライオン

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今回の「わたり文庫無料郵送の一冊」は、羽海野チカ著作『3月のライオン』1巻〜12巻になります。こちらの本は、長野県に住む男性から「大好きな漫画になるので、多くの方々に読んでもらえたら嬉しいと思ってわたり文庫に寄贈をさせていただきます」と郵送をしていただいた漫画になります。ご希望される方は何かしらの方法で坂爪圭吾までご連絡ください。御当選(?)された方には70万時間以内に折り返しご連絡いたします。

 

※※※ こちらの本は、北海道にわたりました ※※※

 

【参考HP】わたり食堂・わたり文庫

 

手に入れるより「手を離す」こと。

本来であれば、明日から栃木県の那須塩原で開催(?)されるファスティング合宿に参加をする予定だった(非常に遊び心のある方が参加費無料で私を招待してくれた)のですが、風邪で免疫力がさがってしまっているいま、三月以降に延期をする流れになりました。風邪をひいてはいるものの、有り余る富【暇】を持て余しております。明日明後日には完治をするのかなといった程度の体調ではあるのですが、看病エンターテイメントとでも銘打って、熱海の家に看病に来てくださる方を募集しております(私の好きな食べ物は、いくらと生姜と蕎麦とカレーライスとほし芋と果物全般です!!)。

 

連絡先・keigosakatsume@gmail.com

 

2月26日(日)には熱海でわたり食堂【0円食堂】を開催します。まだ食事のメニューが出揃っていない状態になるのですが、場合によってはお越しいただいた方々と白湯でも飲みながらゆっくり時間を過ごせたらそれはそれでいいのかもしれないとも思うので、そういう感じでも構わないという方はどなたでもお気軽に遊びにいらしてください。近所に八百屋さんがありますので、最悪の場合はそこで適当な何かを音速で購買いたしまして、みんなで鍋を囲む的な時間になるかも(ならないかも)しれません。

 

【イベント詳細】わたり食堂【0円食堂】

 

2017年は、自分自身をフリー素材として開放する(みなさまに自由に好き勝手に使ってもらう)ことを通じて、果たしてどのような出来事が起こるのかを観察する一年にしたいと思っております。まだまだ始まったばかりの試みではありますが、最近は「手に入れる【増やす】ことよりも、手を離す【減らす】ことの方が自由になる」ということを肌感覚で実感しております。私は自然が好きなので、自分にとって自然であるということ【ひととして自然であること】とはどういうことなのか、これからも、我が身を通じて獲得していけたら嬉しいなあと思っております。

 

 

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人生は続く。

 

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坂爪圭吾 KeigoSakatsume
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