いばや通信

ibaya《いばや》共同代表・坂爪圭吾のブログです。

挑戦しなくて何が人生だ。ー 挑戦した不成功者には、再挑戦者としての輝きが約束されるだろうが、挑戦を避けたままでオリてしまったやつには新しい人生などない。

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「ここにいたら自分がダメになる気がする」と感じる場所がある。それは時に飲み会の席だったり住み慣れた場所だったり頻繁に会っている人との時間だったりするけれど、惰性に溢れた場所にいると人間は腐る。馴れ合いの中に成長はない。アントニオ猪木が最後のリングで残した言葉、「人は歩みを止めた時に、そして、挑戦を諦めた時に年老いていくのだと思います」ー これは真実だと思っている。

新潟市内でトーク殺生(トークセッションの進化系)を開催した。トーク殺生とは「古い自分が死んで新しい自分が蘇る」レベルの新しい気概を獲得することを目的とした語り場(?)で、昨夜は20人程度の人に参加してもらった。今回の開催は大学生のK男が体験した出来事が大きなきっかけになった。

K男(21歳・大学生)「私は先週新潟シティマラソンを走った。36キロ地点で身体的に限界を迎え、いよいよ足が言うことを聞かなくなり、歩いているのもやっとの状態になった。足は常に震え、踏み出すたびに全身に激痛が走るような状態だった。その時、うしろからゲストランナーの高橋尚子さんが走ってきた。私の方を見て『紺色のお兄さんもいくよ!』と声をかけてくれて、私も一緒に走ることになった。その言葉につられて一緒に走り出した私を見て『全然走れるじゃないですか!軽いじゃないですか!』と高橋尚子さんは笑ってくれた。『最初は心から諦めるんです!だけど身体は全然元気なんです!』と励ましてくれた。そして、私はそのままゴールまで一緒に走り抜けることができた。

これは本当に不思議なことなんだけれど、高橋尚子さんと一緒に走り出した最後の5キロが、今まで走って来た中で一番早いタイムを記録した。身体はボロボロで歩くことすらもままならなかったのに、高橋尚子さんが声をかけてくれたことで(身体よりも先に心が諦めるのだと教えてくれたことで)、最後の最後まで走り抜けることができた。実際、最後の5キロは疲れを感じることもなく、ゴールした瞬間にも『あと4キロ位なら走っていられそうだ』と感じた、この感覚は本当に不思議な体験だった。」

Kさんのこのエピソードをきっかけに、今回のトーク殺生ははじまった。テーマは「身体よりも先に心が諦める」ー 私も、私の実体験を交えて獲得したいくつかの個人的な教訓をその場で話した。

坂爪「先日、滝行をした。理由は愚かで『いかに温泉に気持ち良く入るか?』を話し合った結果、極限まで身体を冷やしてから入ったら半端なく気持ち良いだろうな、ということになったからだ。私は友人と滝壺に行った。途中、ひざ下まで足を浸かるシーンがあり、この時点で『これで滝に飛び込むなんて自殺行為だろ』と何回も思った。氷水の冷たさに逃げ出したくもなったが、身体よりも先に心が諦めるのだということを思い出して、実際に滝壺に飛び込んで見た。そこで獲得した強烈な教訓がある。

その教訓とは『想像の方が冷たい』ということだ。実際にひざ下まで水に浸かった時点で、「これで全身が浸かったら超絶冷たいだろう』という恐怖心が芽生えた。しかし、実際に飛び込んで見るとそれほど冷たくはなかった。もちろん冷たいことは冷たいのだけれど、想像していたよりかは冷たくなかった。人間が耐えられるレベルであることを知った。仮に、もしも私がひざ下まで浸かっていた時点で諦めて逃げ出していたら、私は10月に滝行をしようとする人に対して『やめておけ、死ぬほど冷たいから絶対に無理だ』という後ろ向きなアドバイスをしたと思う。しかし、実際に飛び込むことが出来た私は『冷たいが、大丈夫だ。人間が耐えられるレベルだ』という前向きなアドバイスをするだろう。

私が面白いなと思ったのが(そして同時に恐ろしいことでもあるなと思ったのが)、実際に体験した人間と、実際に体験しないで途中で逃げ出した人間が他人に与えるアドバイスは、見事に真逆だということだ。私が仮に途中で逃げ出していたら、後ろ向きな発言をしていたのだと思うと空恐ろしくなる。」

ー そしてもうひとつ。

坂爪「昨日、新潟市にある角田山を一本下駄で登山した。登り出した段階から『登りはいいけど下りは無理だな、とりあえずいけるところまでいこう』と思って登山を続けた。通常90分のコースを150分かけて登頂し、登頂した頃には足はズタボロになり、何度も転倒した為にいたるところに生傷が出来ていた。しかし、登ったからには降りなければいけない。私たちは厳粛な面持ちで下りのルートを歩き出した。そして、下りのルートを歩きながら私たちは面白い現象が生じていることを目の当たりにした。

登りの段階では『とてもじゃないけれど無理だ』と感じていた下りのルートを、どうにか一本下駄で歩き続けることが出来ている自分たちに気がついた。登りの段階で身体が下駄に慣れたのだ。角田山は岩場の厳しいコースが続くので、時には四つん這いになりながら歩かなければいけないシーンもある。何度も何度も転倒を続けながら、私たちは無事に下山することに成功した。果てしなく続くように思える山路の先に思いを巡らせると諦めそうになってしまう。そんな時は「とにかく目の前の一歩を踏み出し続けることだ。この一歩一歩を続けていれば、いつか必ず終わりがくる」と自らに言い聞かせることで闘志を燃やした。転倒した時の痛みをカンフル剤にして、最後の最後まで歩き続けることが出来た。

私たちは手ぶらで飲料水さえも持参せずに敢行したために、下山後に飲んだファンタグレープの味は本当に格別だった。厳しい登山を終え、車内から財布を取り出し、最寄りの自販機でそれぞれの飲み物を購買する。そして、地べたに座りながら『乾杯』を交わす。これほどまで心の底から祝福の思いを込めて乾杯を交わしたのは、もしかしたら生まれてはじめてかもしれないと思った。今まで交わしていた乾杯の生ぬるさを思った。たかだか130円で購買したファンタグレープの味は本当に格別だった。」

今回のトーク殺生で話した教訓は以下の三つ。

1・「身体よりも先に心が諦める」
2・「できないことができるようになる」ことの中には、普遍的なよろこびがある。
3・「生きていること」に意味はない、そこにあるのはよろこびだけだ。

統括する。滝行をしたり一本下駄を履いて登山をすることには何も意味がない。見る人が見れば「なんでいちいちそんなことをやるのか」と疑問に思うのが当たり前だ。しかし、私から見れば「この世のすべては無意味である」と思っていて、毎朝走ることも、美しい夕陽を眺めることも、愛する音楽を奏でることも、愛する人と同じ時間を過ごすことも、本質的には無意味であり、そこにあるのは「身体が感じるよろこび」だけだと思っている。生きることに意味はない、そこにあるのはよろこびだけだ。

イチローが毎日野球の練習をするのも、高橋尚子選手が現役時代に毎日100キロ近くを走っていたことも、「野球」や「マラソン」というスポーツを知らない人が見たら圧倒的な奇行に見える。私は思う。辛く厳しいトレーニングを重ねることが出来るのは、「できないことができるようになる」という普遍的なよろこびがそこにあるからなのだろうし、単純に「身体が感じるよろこび」があるからなのだと思う。身体を動かすと気持ちが良い。美しい景色を眺めると満ち足りた気持ちになる。愛する人と時間を過ごせば優しい気持ちになることができるし、美味しい料理を食べればそれだけで多幸感を味わえる。

そこに意味はないし、意味なんてなくても「生きていることの嬉しさ」が確実にある。それだけでいいじゃないかと私は思う。昔はできなかったことが今の自分にはできるということ、挑戦を通じて自分の絶対的な成長を全身で感じること、精神的な強さを獲得すること、耐え抜いた先に(耐え抜かなければ決して味わうことができなかった)圧倒的なよろこびがあるということ、生きていることに意味はないし必要でさえもないということ、そこには絶対的で揺るぎない生きるよろこびがあるということ。

挑戦することを通じて、今までにやったことがない新しいステージに飛び込むことを通じて、私たちは私たちの世界を拡張させていくことが出来る。挑戦しよう。生きることを楽しもう。心の声に負けてしまわないように、自分を思い切って投げ出してみよう。自転車の乗り方を覚える時に転倒を繰り返したように、肉体的な痛みを経由しなければ広がらない世界がこの世にはある。挑戦をしよう。苦しみを感じる瞬間はつらいが、その先にしか新しい世界の素晴らしい広がりはない。その景色に出会えた時、すべてが報われるような手応えを覚えることができる。「生きていること」に意味はない、そこにあるのはよろこびだけだ。

生きることを楽しもう。人生は続く。

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