いばや通信

ibaya《いばや》共同代表・坂爪圭吾のブログです。

シェアハウスからシェアタウンへ。 - 正論を共有したって誰も動かないから、興奮を共有しなければダメだ! -

シェアタウン構想について周囲の人たちと話しまくっている。

シェアタウン構想を簡単に説明すると、その街に住むそれぞれの人が、それぞれが持つ何かしらを地域全体でシェアする構想を指す。例えば、家の一室が空いている人や使っていない庭や畑や田んぼを持っている人はそこをオープンスペース化して地域住民に無料で解放したり、普段はあまり使わない楽器やカメラや大工道具やアウトドアグッズとかがある人は、それをフリーレンタル化して地域住民に無料でシェアし合う。目に見える道具だけでなく、子育てや介護の負担を「余裕のある人たち」でシェアしあうことで、困ったときはお互い様マインドを発揮しまくることで圧倒的に住みやすい街を実現する、みたいな構想を指します。

新しいものをどんどん作るのではなく、今あるものに手直しを加えて、さらにオープンにすることで生活の自由度と選択肢を増やす。高いお金を出してひとつのものを「所有」するのではなく、地域住民同士で「共有」することによって、少ないお金でたくさんの満足を生み出す。結果として、地域住民同士の新しいコミュニケーションが生まれていく。これがシェアタウン構想の簡単な概要であって、自由度が高いために様々なシーンで応用が効くと考えています。

今までは、「自分のことは自分でやって当たり前」という風潮がめちゃめちゃ強く、「自分のことは自分でやって一人前。誰かに頼るのは半人前」という常識が激しく強く根付いていた。私はこれがものすごい息苦しいものだと感じていて、誰かに助けを求める時に死守すべき3つのコツ。 - 「他人に迷惑をかけちゃいけない」というのは大嘘で、「どれだけ楽しく迷惑をかけられるか」の勝負だ!という記事などを通じて、自分なりの現代社会へのアンチテーゼと、代わりとなる「ものの考え方」を提示してきた。アンチテーゼといっても別に何も難しいことはなくって、「困ったときはお互い様」という昔からある伝統的なものの考え方が、もっと生活レベルにまで浸透していけば今よりも確実に暮らしやすくて楽しくて明るい世の中になると思っています。

例えば、今は若い女性のおよそ60%が非正規雇用で年収110万円以下の生活を送っている。シングルマザーの80%も貧困に喘いでいるというデータもあって、先行きは暗い。お金の問題は人間から心の余裕を奪うから、冷静な思考をすることができなくなる。しかし、シェアタウン構想がもしも実現すれば、例えば時間的に余裕のある街のおばあちゃんやおじいちゃんなどが、シングルマザーの子育てを手伝ってあげることもできる。晩御飯を代わりにつくってあげることもできるし、その代わりとして、例えば若い人たちが高齢者の代わりに何かをやってあげることもできる。持ちつ持たれつつの世の中が実現することで、結果として現代社会が抱えている問題を軽減してくことができる、と考えるのがシェアタウン構想です(雑な説明でごめんなさい!)。

周囲の人たちといろいろ話している中で、いくつかのアイデアが出ました。

①地域住民が1日限りの先生役をつとめる、「1日大学(仮)」を開催する。
②周辺地域で発生する残飯を活用する、「フードバンク」構想を実験する。
③小学校や大学や公園や公共施設や民間施設などを大いに解放する。

①地域住民が1日限りの先生役をつとめる、「1日大学(仮)」を開催する。

誰でも必ず何か他人に教えられる(伝えられる)ものを持っている。それは「郷土料理の作り方」でもいいし、「裁縫や刺繍のやり方」でもいいし、「ギターの弾き方」でも「散歩のすすめ」でも「演劇のすすめ」でも「パンつくりのすすめ」でもなんでもいい。ホストやキャバ嬢の授業があってもいいし、地域住民が互いに何かを教え合う場を生み出すことで、相互理解を深めることもできるし、自分たちの世界を広げていくことができる。

例えば、ある日の授業は「ふんどしの作り方」だとする。みんなでいらない布やタオルを持ち寄って、それを使ってふんどしを作る。自分でそれを履いてもいいし、ネットショップを開設してみんなで売ってみるのも多分楽しい。上手いとか下手だとかは関係なく、みんなで楽しみながらつくって、その中のいくつかを実際に販売してみたりして、もしも仮にそれがひとつでも売れたときにはわっしょいだ。みんなでハイタッチができるかもしれない。可能性は無限大だ。

②周辺地域で発生する残飯を活用する、フードバンクの地域バージョンを開設する。

世界的に見ると、飢餓による死者は1日で5万人にも及ぶという。しかもその大半は子供たちだ。食糧が充分に作られていないわけではなく、実際はその真逆だ。穀物は年間24億トン生産されていると言われているが、これは世界中の人が生きていくのに必要な量のおよそ2倍にあたる。家庭から出る残飯の総額は年間で11兆円にもなると言われており、その処理費用で年間2兆円が使われている。生活保護の不正受給問題がとやかく言われているけれど、その額は120億円程度であり、それよりもよっぽど重大な問題であるように私は感じている。

人間は、衣食住さえ整っていればとりあえず生きていくことはできる。シェアタウン構想の中から、フードバンク構想(残飯を効率的に配分するシステム)さえうまく機能するようになれば、その地域に住む人は食うものにとりあえず困らなくなる。奇跡的に世界的なロールモデルになってしまうことも考えられるし、考えられないかもしれない。試してみる価値はある。

③小学校や大学や公園や公共施設や民間施設などを大いに解放する。

例えば、小学校を卒業すると同時に、ほとんどの人は二度と小学校には行かなくなる。行くとしたら、自分の子供が生まれてからだ。このように、「自分とはまるで関係ない場所」が世の中には無数にある。そこに新しい関係性を作り出す。例えば、小学校の理科室を解放して、そこで1日BARをやってしまったりする。カラフルなカクテルを試験管に入れたり、靭帯模型をどうこうしたり、色々と工夫できる余地はあるし、そもそもで夜の理科室に行けばテンションがあがる。

「自分とは関係のない場所」を解放することで、「自分とも関係のある場所」が増える。そうすると地域周辺にオリジナルで自由度の高い遊び場が増える。遊び場が増えるとそこに集まる人たちが増えて、化学反応が起きて(理科室なだけに)、結果とんでもないわっしょい状態になる。小学校とか大学を自由に使えるようになれば、それでテンションがあがる大人は確実にいる。私がまさにそうで、理科室でBARとか出来たら浮かれてしまう。

別に学校施設に限らず、公園でも海でも道の駅でもなんでもいい。普段だったら絶対に行かないような場所を「遊び場」として解放することで、自由度の高い空間を提供しまくる。すると、そこで絶対に面白い使い方をしはじめる輩が登場するから、結果として勝手に活性化する。

こんな感じで、シェアタウン構想から様々なアイデアが生まれています。

もちろん、このすべてをすぐに実現することはできない。しかし、試せるところから共通する感性を持った人達で、遊び感覚でなんでも試してみればいいのだと思っている。シェアできるものからとりあえずシェアをしてみて、別にイヤなら遠くから見ているだけでもOKで、自由に好き勝手にやれることからやればいい。強制されるものでもない、強制するものでもない。

個人的に重要だと思っているのは、「正論を共有したって誰も動かないから、興奮を共有しなければダメだ!」ということです。人が動くのは「正しさ」ではなく「楽しさ」であり、そもそもでその活動に参加することが楽しくなければ近寄りたいとは思わない。逆に言えば、楽しみながら何かをやっていれば、結果として仲間なんて勝手に増えると思っている。

私はユーモアのないものが嫌いだ。堅苦しいものが嫌いだ。未来というのは、楽しみながら何かをやっていたら、結果として「現代社会が抱えていた問題を解決してしまっていた」というものだと思う。シェアタウン構想についても、そういう風に機能していったらGOODだと思っていて、決して堅苦しいものにはしたくはないし、優等生的な活動にはしたくない。

こんな感じで、SNSでも広く意見を取り入れながら、面白いアイデアやすぐにでも実現できそうなアイデアを、ひとつずつ試していけたらと思っています。私の現住所が新潟だから、どうしても最初の実験都市は新潟市になってしまうのだけれど、こうした取り組みに関心のある方はお気軽にツイッター(@KeigoSakatsume)などからご連絡をいただければ幸いです。結論。明るくて楽しくて優しくて、自由度の高い世の中になればいいね!!

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坂爪圭吾 KeigoSakatsume/ibaya
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